2024年12月
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クリーンエネルギー目標達成へ、大規模蓄電システムの導入を提案 豪モナシュ大学

豪モナシュ大学ビジネススクール(Monash Business School)は11月14日、豪州がクリーンエネルギー目標を達成できるかどうかは大規模な蓄電システムにかかっているとの見解を述べた報告書『The storage imperative: Powering Australia's clean energy transition』を発表した。

豪州は、2030年までに43%の排出削減、2030年までに再エネ比率82%、2050年までに排出量ネットゼロという野心的なクリーンエネルギー目標を掲げている。この報告書は、これらの目標は蓄電システムなしには達成不可能であるが、豪州における現在の電力取引の方法やこれを支える金融商品は、間欠性エネルギーや蓄電システムを取り扱うには不十分であると指摘している。

この報告書では、他の市場で既に行われている改革を取り入れた、さまざまな政策面での推奨事項や、政策立案者、市場運営者、業界関係者に向けた改革案を提示している。具体的には以下のような方法を提案している。

  • 後悔しない(No-Regret)政策:価格シグナルと電力網の効率性を向上するための、地点別限界価格(LMP)や前日市場(DAM)の導入、先渡契約(forward contracting)の推進
  • 投資インセンティブ:容量投資スキーム(Capacity Investment Scheme)のようなスキームを蓄電資産の現状により即したものとするための再評価
  • 信頼性確保のための資金調達:蓄電システムを中心とする電力網(storage-dominated grid)における系統信頼性を確保するための、長期契約や革新的な調達メカニズムを通じた新たなアプローチの開発
  • 研究への投資:裁定取引(arbitrage)を通じた収益の創出における限界や再エネを中心とした市場設計を探るための研究への投資

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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