オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は2月12日、人間の頭蓋骨から生物学的性を推定するための高度な人工知能(AI)ツールを西オーストラリア大学(UWA)と共同で開発したことを伝えた。この研究の成果は学術誌Scientific Reportsに発表された。
このAIツールは、迅速で正確な頭蓋骨の身元特定を可能にし、犯罪捜査や大規模な自然災害時における迅速な結果の提供が求められる調査に役立つと期待される。
チームは、頭部CTスキャン200枚の画像データを、性に関連する形質についてAIアルゴリズムで分析し、その結果を人間による分析と比較した。このAIツールは97%の正解率を達成し、人間の評価者が従来の手法を用いた場合の正解率82%を大きく上回った。
CSIROの研究科学者(research scientist)で論文の共同筆頭著者であるホリー・ミン(Hollie Min)博士は、「このAIツールは、人間の5倍の速さで結果を生成しました。これは捜査の結果を待っている家族が、愛する人に関する知らせをより早く受け取れることを意味します」と語る。
また、同博士は「我々は法医人類学者に、その重要な仕事を助ける信頼できる解釈可能なツールを提供することを目指しています」と述べ、「現在、この技術の実世界への応用に向けた共同開発を行う産業パートナーを探しています」と付け加えた。
研究で使用された5つの頭蓋特徴を示すボリュームレンダリングされたCTスキャン
頭部CTスキャン200枚の画像データから得られた性に関連する形質についてAIアルゴリズムで分析
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部