2025年03月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2025年03月

生成AIを用いて科学的発見を加速するツールを開発 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は2月26日、同大学の研究者が率いる豪州の共同研究チームが、人間の科学者と同様のスキルを用いて科学的発見のプロセスを加速する生成AIツールを開発したことを発表した。この研究の成果は学術誌Nature Machine Intelligenceに掲載された。

「LLM4SD(Large Language Model 4 Scientific Discovery)」と名付けられたこの対話型大規模言語モデルツールは、文献から有用な情報を取得し、データ分析に基づき仮説を構築するという、科学研究の基本的なステップを実行できる。さらに質問に対してその結果を説明するための情報を提示することもできるが、これは現在の多くの科学検証ツールが備えていない機能である。

LLM4SDは、4つの科学領域(生理学、物理化学、生物物理学、量子力学)にわたる、分子特性に関する58個の研究タスクを用いてテストされ、現在利用されている最先端の科学ツールよりも優れた性能を示した。材料設計に重要な量子的性質の予測では正解率が最大48%向上した。

共同著者であるモナシュ大学情報技術学部(Faculty of Information Technology)のジェフ・ウェッブ(Geoff Webb)教授は、「このツールは創薬プロセスをより容易、迅速、正確なものとし、世界のあらゆる分野の科学者にとって研究の強力なサポートとなる可能性があります」と述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る