ニュージーランドのオークランド大学(University of Auckland)は5月2日、同大学の気候科学者が世界の海洋が北緯・南緯40度付近の2つの緯度帯で急速に温暖化しており、特にニュージーランド周辺が最も温暖化が進む地域の1つであることを明らかにしたと発表した。
オークランド大学およびアメリカ大気研究センター(UCAR)所属のケビン・トレンバース(Kevin Trenberth)博士が主導した研究では、これまでに前例のないほど膨大なデータを活用し、2000~2023年の水深2000mまでの緯度1度ごとの海洋熱含量を分析した。南緯40~45度帯では、ニュージーランド、タスマニア、アルゼンチン沖にかけて顕著な温暖化が観測され、北緯40度付近では米国東方や日本東方の海域でも同様の傾向が確認された。
こうした海洋の温暖化は、ジェット気流の極方向への移動や海流の変化と連動して発達してきたと考えられており、海洋生態系の破壊、降雨量の増加、極端な気象の頻発など地球全体に影響を及ぼす可能性があるとされている。
また、熱帯域(北緯10~南緯20度)でも温暖化が見られた一方で、南北両半球の緯度20度付近の亜熱帯域では異例にも温暖化が見られないことも明らかになった。
同博士は「米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の考えに反して、温室効果ガスの蓄積によって気候は変化しており、その余分な熱の多くは海に蓄積されます。また今回の研究が示すように気候変動の結果として海が不均一に温暖化されていることが明らかになり、自然変動も影響しています」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部