2025年06月
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大規模科学制度改革、3つの新たな公的研究機関を設立 ニュージーランド

ニュージーランド政府は5月14日、7月1日までに3つの新たな公的研究機関を設立し、同国では過去30年で最も大規模な科学制度改革を実施すると発表した。

この発表はシェーン・レティ(Shane Reti) 科学・革新・技術相より行われた。今回の改革は、科学の力を最大限に活用し、ニュージーランドの経済成長とレジリエンスを強化することを目的としている。年初に発表されたこの改革は、7つのクラウン研究所を廃止し、3つの未来志向の新機関を設立するものである。

新たに設立される研究機関は以下の通りである。

  • ニュージーランド バイオエコノミー科学研究所:農業、水産養殖、林業、バイオテクノロジー、製造業の革新推進、生態系の保護、新たなバイオ技術や製品の開発を担う。
  • ニュージーランド 地球科学研究所:エネルギー安全保障や持続可能性、土地・海洋・鉱物資源の開発、自然災害への対応力強化を目的とする。
  • ニュージーランド 公衆衛生・法医学研究所:感染症の検出と対策、公衆の安全確保に貢献する。

同相は、これらの研究所はイノベーションの推進と産業支援、国民生活の向上に直結する研究を担うと強調した。また、これらの機関は科学を実社会の成果や商業的成功へとつなげる強い使命を持つとし、「優れた科学だけでは不十分です。起業を活性化し、生産性を高め、雇用を創出するには、科学の成果を経済に還元する必要があります」と語った。

同日、同相は、バイオエコノミー科学研究所の会長にバリー・ハリス(Barry Harris)氏を、地球科学研究所の会長にデビッド・スモル(David Smol)氏を任命したと発表した。両氏は卓越したリーダーシップと業界経験を有し、新機関の構築と成果実現に貢献すると期待されている。なお、現在のニュージーランド環境科学研究所は、ニュージーランド公衆衛生・法医学研究所に改組されても現行のガバナンス体制を維持する。

同相は最後に、「これらの改革は、科学の焦点、成果、価値を高めるものであり、将来に備える持続可能な科学システムの基盤を築くものです」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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