2025年08月
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エネルギー転換のリスク低減へ、国立エネルギー分析センター設立 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月17日、エネルギー転換の加速とリスク軽減を目的に、国立エネルギー分析センター(NEAC)を設立したと発表した。

NEACは、ネットゼロ社会の実現に向けた政策や制度設計を支援するための独立型共同研究拠点である。家庭や企業の匿名化された実データと、エネルギーシステムのモデリング・可視化技術を統合し、政策決定者に信頼できる知見を提供する。

CSIROエネルギー部門のディートマー・トゥールビエ(Dietmar Tourbier)博士は、「エネルギーシステムの変革は、経済や社会全体に影響を与える大規模な課題です。NEACはその舵取りを支える基盤となります」と述べた。

CSIROエネルギー部門のディートマー・トゥールビエ(Dietmar Tourbier)博士
© Yen Chean Soo Too(出典:CSIRO)

NEACは以下の3つの構成要素から成る。

  • オーストラリア全土の家庭・事業所を対象にした参加型研究基盤「リビングラボ」
  • マルチエネルギーシステムの解析に対応する「システム科学ツールボックス」
  • 産官学をつなぐ広範なイノベーションネットワーク

NEACを活用することで、研究者や行政、事業者はエネルギー利用の実態を精緻に把握し、消費者負担を抑えたインフラと制度の設計が可能になる。多様な家庭や事業者の参加によって、信頼性・安全性・経済性を備えた政策形成が促進される点が特徴である。

リビングラボにデータ提供者として参加しているヒース・ラファティ(Heath Raftery)氏は、「賃貸住宅に住む私でも、エネルギー政策に貢献できる貴重な機会です。自宅の電力使用データを共有することで、家計の見直しにも役立つと感じています」と話す。

NEACはすでに住宅研究プロジェクトへの提供を開始しており、産業拠点向けのエネルギー最適化研究にも応用されている。CSIROは18歳以上のオーストラリア居住者に対し、リビングラボへの参加を呼びかけている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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