ニュージーランドのビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)は9月18日、オークランド大学のバイオエンジニアリング研究所と米国テキサス大学オースティン校オーデン計算工学科学研究所の共同研究に対し、健康とバイオエコノミーの革新を目的としたAI搭載デジタルツイン開発のために最大450万NZドルを投資すると発表した。

本研究は、物理学に基づく人工知能(AI)とマルチスケール生物物理学的モデリングを組み合わせることで、臓器や生物、生態系のデータ駆動型の仮想モデルであるデジタルツインを構築する。デジタルツインは個別化医療の実現や治療計画の最適化、製薬開発の迅速化に資するだけでなく、遺伝的および環境的変化への反応をシミュレーションすることで農業分野の革新も支援する。

MBIEの分析によれば、この技術はニュージーランド国内の病院において年間最大3200万NZドルのコスト削減効果をもたらし、導入と実装の状況によっては最大1600万NZドルのライセンス収入を生み出す可能性がある。

資金はMBIEが運営するカタリスト基金(Catalyst Fund)を通じて拠出される。プログラムは2年間ずつの2フェーズに分かれ、第2フェーズは米国連邦政府の資金援助を条件として進められる。

米国はニュージーランドにとって重要な科学・イノベーション分野のパートナーであり、今回の協力はバイオエンジニアリングとAIの両分野における両国の強みを基盤として構築されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部