2025年11月
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有毒シアンの再利用で金回収率と環境持続性を向上 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月16日、有毒なシアン化物を再利用して金の回収率と環境持続性を高める「持続可能な金シアン化技術(Sustainable Gold Cyanidation Technology)」を開発したと発表した。

ルーマニアの金鉱山から流出する汚染されたシアン化物残留水の航空写真

CSIROの主席研究科学者ポール・ブリューア(Paul Breuer)博士とシエンウェン・ダイ(Xianwen Dai)博士の研究チームは、従来の金精錬で使用されるシアン化物を回収・再利用することで、経済性と環境保全を両立させる新たな金抽出プロセスを開発した。この技術は、鉱滓中に残留する有毒化合物や金属を除去しつつ、未回収の金を効率的に取り出すことができる。

ダイ博士は「私たちのプロセスは、一般的に行われているシアン化物破壊技術を上回っており、現在、現場でのパイロット実証の準備が整っています」と述べている。CSIROによると、この技術は尾鉱に残る有害物質の濃度や、現場へのシアン化物輸送量を大幅に削減できるという。

シエンウェン・ダイ(Xianwen Dai)博士は、金とシアン化物の回収を統合的に強化したプロセスを検証するため、ベンチ スケールの連続試験を実施

1970年代から1980年代の金採掘ブーム以降、金はオーストラリアの主要輸出品の一つである。2024年には約300t、総額約340億豪ドルの金が生産され、同国の輸出額第5位を占めた。近年の金価格高騰により生産量が増加する中、環境負荷の低減は喫緊の課題となっている。CSIROの新技術は、金採掘の持続可能性を高める取り組みとして注目される。

ブリューア博士は「この技術は現行のシアン化物回収法を超える経済的・環境的利益をもたらす可能性があります。今後、鉱業界やエンジニアリング企業と連携し、現場での実証を進めていきたいと考えています」と語った。

CSIROのシアン化物不使用プロセスによる初めての金鋳造で作られた、1オンスの記念金インゴットを手に持つ主任研究科学者のポール・ブリューア(Paul Breuer)博士
(出典:いずれもCSIRO)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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