オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は10月20日、同大の研究者らが率いる国際研究チームが、遺伝子変異がmRNAに影響を与え、疾患を引き起こす仕組みを決める遺伝暗号を発見したと発表した。この研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。
この画期的な発見は、特に希少疾患や特定集団に特有の疾患など、研究が十分に進んでいない重篤な疾患に対処可能なmRNA治療法の開発に道を開くものである。研究者らはこの遺伝暗号により、細胞内で成長や発達、機能に役立つタンパク質を生成するために必要な細胞プロセスであるRNAスプライシングの内部を調べることができる。
mRNAは、遺伝子の設計図であるDNAと細胞内で主要な働きを担うタンパク質との間の重要な中間体である。また、RNAスプライシングは、RNAの一部を除去することで設計図の適切な読み取りを保証する。遺伝子変異はRNAスプライシングを変更し、成長や発達、外部刺激への反応といったプロセスに影響を与える。RNAスプライシングに欠陥があると、がんを含む重篤で生命を脅かす遺伝的状態や病気を引き起こす可能性がある。
同大学が主導したこの研究は、まず植物のRNAの切断・結合が行われる位置である何百万ものスプライス部位を比較し、その後、人間を含む25種以上のサンプルにまで研究対象を広げた。この研究はRNAスプライシングを測定するため、同大学生物科学学部のシュレシュクマール・バラサブラマニアン(Sureshkumar Balasubramanian )教授のチームが2021年に開発したSpliSERと呼ばれる革新的なツールを用いて実施された。
同教授は、「これは単なる希望ではなく、最も重篤で生命を脅かす疾患に苦しむ人々にとって、治療への明確な道筋です」と述べ、特定の集団に現れる疾患や世界的なゲノム研究で過小評価されている可能性のある疾患を含む、より希少な疾患に取り組むグループとの知見共有を進めている。
同大学副学長(研究・企業担当)兼上級副学長であるロビン・ウォード AM(Robyn Ward AM)教授は、オーストラリア最大のRNA研究者ネットワークを擁する同大学が、この重要な研究を世界的な影響力へと変える最前線に立っていると述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部