オーストラリアのメルボルン大学は10月20日、同大研究者らが、メルボルンやその周辺に生息するアカギツネ(Vulpes vulpes)に感染している腸内寄生虫が、人やペットに健康上のリスクをもたらしていることを明らかにしたと発表した。この研究成果は学術誌International Journal for Parasitology: Parasites and Wildlifeに掲載された。
オーストラリアで最も適応力の高い種の一つであるアカギツネは、農村部と都市部の両方で繁栄している。都市部では、キツネは人々によってしばしば意図せず提供される生ごみや水、住処の恩恵を受け、人間やペットに近接しているため、寄生虫を感染させる可能性がある。
研究を主導し調査報告を行ったメルボルン大学獣医学博士課程のブリジット・グラフェオ(Bridget Graffeo)氏は、「メルボルンとビクトリア州の農村部から集めた合計51頭のアカギツネの消化管を検査した結果、90%以上の個体が少なくとも1種の寄生虫に感染していることが分かりました。これはオーストラリアのキツネにおける最高レベルの感染率です」と述べた。
論文の共著者であるメルボルン獣医学部のアブドゥル・ジャバー(Abdul Jabbar)教授は、「人や動物が寄生虫に汚染された土壌や水、動物の糞便から寄生虫の卵を誤って摂取すると、病気を引き起こす可能性があります。公園や遊び場、庭園に残されたキツネの糞は、あまり知られていない感染源の可能性があります」と述べた。
また今回の研究によると、農村部のキツネは寄生虫の種類が多く、都市部のキツネは寄生虫の種類は少ないが、人の健康にとって重大な種を保有していた。また、研究の一環として行われた食性分析では、昆虫や鳥類、植物、小型哺乳類などのキツネが摂取する食物が寄生虫のライフサイクルを維持していることが明らかにされた。
キツネが人やペットに健康上のリスクをもたらしている問題について、研究者は都市部のキツネの個体数の管理は困難だが、寄生虫の駆除や生息地の管理、市民教育を含めた非殺傷的で科学的根拠に基づくアプローチが有望な解決策であると指摘した。
同教授は、「監視体制の強化と地域社会の意識向上はキツネの個体数の管理と、キツネの寄生虫が人やペットにもたらすリスクを最小限に抑えるのに役立ちます」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部