オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月21日、CSIRO傘下のオーストラリアeヘルス研究センター(AEHRC)の研究者らが、アルツハイマー病の診断を改善するため、よりシンプルで侵襲性の低い方法を見出したと発表した。この研究成果は学術誌Alzheimer's & Dementiaに掲載された。

血液サンプルは、脳内のアミロイド斑を確認するより、簡便で侵襲性の低い方法を提供する
(出典:CSIRO)
オーストラリア治療製品管理局(TGA)がアルツハイマー病の初期症状の成人患者向けに承認したドナネマブのような新しい治療法は、脳内のアミロイド斑の確認が必要となる。現在アミロイド斑を検出するための参照基準は、費用や身体的負担の大きいPETスキャンや腰椎穿刺による脳脊髄液分析である。
この研究報告によると、ルミパレスpTau217検査とアミロイドβ42/40比検査の2つの血液検査を組み合わせることで、アミロイド斑の検出の参照基準となる方法と同等の精度が得られることを確認した。論文の筆頭著者でありAEHRCのリサーチサイエンティストであるジェームズ・ドッケ(James Doecke)博士は、「血液検査が適切な治療戦略を構築し、患者の病態進行を把握するための選別プロセスにおいて極めて重要になります」と述べた。
AEHRCは、エディス・コーワン大学(Edith Cowan University)、フローリー研究所(The Florey Institute)、ラブコープ(Labcorp)社などと協力して、約400人の参加者から採取した血液サンプルを分析した。その結果、pTau217/アミロイドβ42比の組み合せは93%以上の精度を達成し、現在の参照基準である脳脊髄液検査と同等の精度を示した。
これらの検査を組み合わせることで、臨床医は信頼性の高い結果を得ることができ、不確実な症例の数をほぼ半減させる。この研究は、血液ベースのバイオマーカーが、高価で侵襲的なPETスキャンや腰椎穿刺への依存を減らし、世界中の患者や医療システムにとって診断をより利用しやすくする可能性を示している。
フローリー研究所の認知症研究の教授であり、論文の共著者であるコリン・マスターズ(Colin Masters)氏は、「これは、臨床試験と日常診療の両方で血液検査を広く採用するための重要な進歩です」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部