2025年12月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2025年12月

内燃機関のCO2を肥料へ転換する技術実証を開始 豪ディーキン大学

オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)は11月5日、同大学のリサイクルとクリーンエネルギー商業化ハブ(REACH)を通じて、メルボルンのスタートアップ企業キャプチャー(Kapture)社と連携し、内燃機関から排出される二酸化炭素(CO2)を捕捉して肥料へ転換する技術の実証を進めると発表した。

同大学とキャプチャー社は、建設、鉱業、農業など遠隔地産業で使用される発電機セットから排出されるCO2を回収し、不活性粉末へ変換する装置の開発を進めている。同社の装置は既存のディーゼル発電機に後付けでき、排出前にCO2を捕捉する仕組みを備える。

キャプチャー社創業者兼CEOのラジ・バグリ(Raj Bagri)氏は、「CO2をグリーン肥料に変換することで排出削減と循環型経済を同時に支援します」と述べた。同氏は、排出削減が難しい産業に対し実用的で拡張性のある選択肢を提供する姿勢を示した。

同大学理工学・建築環境学部(SEBE)のスヴェトラーナ・ステヴァノヴィッチ(Svetlana Stevanovic)博士とアリ・ザレ(Ali Zare)博士らは、副産物の組成を分析し、ディーゼル残渣を含まず土壌散布に適しているかを評価している。同博士は、「回収物質の性質を明らかにし、土壌への適合性を確認しています」と説明した。

2026年末には温室および圃場での試験が予定されており、SEBE副学部長ランバート・ブラウ(Lambert Brau)教授が多様な土壌・気候条件で市販肥料との比較試験を行う。これらの試験では、肥料性能の評価とともに環境条件に応じた効果の差異を確認する。

オーストラリア農業ではエネルギー使用の80%以上をディーゼルが占めており、農機からの排出物を現地で肥料化できる点が注目されている。同博士は、「遠隔地では内燃機関が依然不可欠であり、この技術はそうした活動の脱炭素化につながります」と述べた。

キャプチャー社は副産物のコンクリート、プラスチック、ガラス、製紙など他産業での応用も検討中で、西オーストラリア州のホライズンパワー(Horizon Power)社とのパイロット試験を完了し、2026年の商業展開に向け技術チームを拡大している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る