2025年12月
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充電ケーブルを必要としないスマートパワーボックスの開発 NZオークランド大学

ニュージーランドのオークランド大学(University of Auckland)は11月10日、同大学の電気・コンピュータ・ソフトウェア工学科(Department of Electrical, Computer and Software Engineering)の研究者らが、電子機器をWi-Fiのような方法で充電することができる技術を開発していることを明らかにした。

このシステムは、電子機器の充電器への配置を必要とせず、机の引き出しやベッド脇のテーブルといった小さな空間で、複数の電子機器に電力を供給する。スマートフォンやイヤホン、スマートウォッチは、引き出しに入れるだけで自動的に充電される。アイクオ・パトリック・フー(Aiguo Patrick Hu)教授とサイドゥル・アラム・チョウドリー(Saidul Alam Chowdhury)博士は、スマートパワーボックス(SmartPowerBox)と呼ばれる世界初の立体空間無線充電プラットフォームの創出を目指している。

スマートパワーボックスのアイデアは、小さな充電器に電子機器を常に正確に置かなければならない日常の単純なストレスから生まれた。チョウドリー博士は、「スマートパワーボックスは、家具の表面に埋め込まれた薄く平らなコイルのネットワークを使い、空間に安全な電磁場を形成し、電力の供給を可能にします」と説明する。

このシステムは、高度なパワーエレクトロニクスが内部の装置を自動的に検知し、電磁放射を制御し、安全性と効率性を確保する。これは従来の充電器とは異なり、エネルギーを三次元的に均等に分配し、真の自由配置型ワイヤレス給電を実現する。

スマートパワーボックスは日常生活における電子機器の充電方法を変革し、煩雑なケーブルを使わず、引き出しや机のどこでも充電することを可能にする。医療分野などでの応用も見込まれ、複数のツールやセンサーが同時に作動できる衛生的で整理された充電ゾーンの構築を実現する。

この研究のプロトタイプの開発はオークランド大学財団により支援されており、将来的にはユニサービス(UniServices)を通じて国際パートナーや産業界との特許取得、商業化の協力が期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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