オーストラリア産業・科学・資源省(DISR)は、人工知能(AI)の活用を通じて機会の創出、利益の共有、安全性の確保を図る国家AI計画を発表した。

(出典:豪政府)
この計画は、「Future Made in Australia」政策の中核的な柱として位置付けられ、政府、産業界、研究機関、地域社会が連携し、技術変化の中で誰一人取り残されない対応を進めるための指針となっている。
AIはオーストラリア国民の働き方、学び方、つながり方を変え、ビジネスモデルやサービス提供、経済全体を再構築している。さらに生産性と競争力の向上、国家能力の構築、レジリエンス強化のための協力手段として位置づけられている。
国家AI計画は、信頼性の高い世界水準のAI技術を開発・導入する国となるための道筋を示すものであり、投資、技術革新、導入が進む環境を整え、AI分野における国家的能力の成長を牽引する目標である。計画では、目的を持った革新、包摂的な成長、公共の利益に資する国家能力の構築、安全性と信頼の確保を基本方針として掲げている。
機会の創出に関しては、オーストラリアがAI研究と導入において国際的な強みを有している点を踏まえ、デジタル・物理インフラへの投資や国内能力の支援、国際的な連携を進めるとしている。米国のマイクロソフト(Microsoft)社やアマゾン(Amazon)社、オーストラリアのファーマス(Firmus)社によるデータセンターへの大規模投資や、ナショナル・ブロードバンド・ネットワークの更新が、地域的なAI拠点形成につながっていると記載されている。また、4億6000万ドルを超える既存資金が、AIおよび関連施策に投入されている。
利益の普及については、背景や居住地にかかわらず、すべての国民がAIの恩恵を受けられるよう設計されている。中小企業、地域社会、デジタル排除のリスクがある層を対象とした支援が盛り込まれており、AI導入プログラムや国家AIセンター(NAIC)が、責任あるAI導入に向けた助言や資源を提供するとしている。
安全性と信頼の確保は計画の中核とされている。政府は法的、規制的、倫理的枠組みを重視し、AI安全研究所(AISI)を設立するとしている。AISIは、新たなAI技術の能力、リスク、潜在的な危害について監視、検証、情報共有を行うとされている。
(2025年12月2日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部