2026年01月
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アルゴフロートが東南極棚氷下で初の横断観測データの収集に成功 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、海洋観測センサーを搭載したアルゴ(Argo)フロートが、デンマンとシャクルトン棚氷下の300kmを漂流しながら約200カ所の観測プロファイルを収集したと発表した。研究成果は学術誌Science Advancesに掲載された。

デンマン氷河
Credit: Pete-Harmsen/Australian Antarctic Division

アルゴフロートは2年半の間、氷の下で生き延び、東南極棚氷下で初となる海洋観測データを陸に送信した。タスマニア大学(University of Tasmania)のオーストラリア南極プログラムパートナーシップと連携するCSIROの海洋学者スティーブ・リントール(Steve Rintoul)博士は、「この勇敢なフロートは氷の下を漂流し、デンマンとシャクルトン棚氷の下で8カ月間、5日ごとに海底から棚氷の下部までの観測プロファイルデータを収集しました。この前例のない観測データは、棚氷の脆弱性に関する新たな知見をもたらしました」と述べた。

アルゴフロート
Credit: Pete Harmsen/Australian Antarctic Division (出典:いずれもCSIRO)

この観測データによると、シャクルトン棚氷(東南極の最北端の位置)は暖かい海水にはさらされておらず、氷の脆弱性は低い。しかしながら、世界の海面上昇に1.5メートルの寄与が懸念されるデンマン氷河は微妙な状態にある。暖かい海水が氷床下部に到達しており、暖かい海水層の厚さのわずかな変化が融解速度を高め、不安定な氷の後退を引き起こす可能性がある。海水から氷への熱の移動は、棚氷直下の厚さ10メートルの境界層の状態に依存する。

同博士は、「フロート観測の大きな利点は、融解速度を制御する境界層の特性を測定できることです。アルゴフロートの観測は、この融解プロセスをコンピューターモデルで表現する方法を改善し、将来の海面上昇予測の不確実性を減らすために利用されます。南極大陸の陸棚域により多くのフロートを展開すれば、棚氷が海洋の変化に対して脆弱であることの理解が深まります。これにより、将来の海面上昇の推定における最大の不確実性が低減されます」と述べた。

(2025年12月6日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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