2026年02月
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AIで農産食品廃棄物の再利用を目指す国際共同研究開始 豪CSIRO

オーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)は1月14日、英国のリーズ大学と連携し、農産食品廃棄物を再利用して食料安全保障の向上を目指す人工知能(AI)活用型ツールの開発に取り組む国際共同研究プロジェクトを開始したと発表した。

食品廃棄物を持続可能なタンパク源へ転換:廃棄農産物から発酵、食品生産までのプロセス

同プロジェクトは、世界的に懸念が高まる食品ロスと持続可能性の課題に対応するため、農産食品廃棄物を原料として高品質なタンパク質を生産する技術の開発を目的としている。CSIROによると、オーストラリア国内では毎年700万トン以上の食品が廃棄されており、これは国内で生産される食品全体の約3分の1に相当する。

研究では、発酵技術を用いて農産食品廃棄物を微生物由来のタンパク質へと変換する。対象とする廃棄物は、損傷を受けた、または収穫されなかった野菜作物、キャノーラやビール粕などの穀物副産物、チーズ製造時に生じる副産物の3種類である。

研究チームは、発酵条件を最適化するAIツールを開発し、人または動物向けの食品原料として利用可能な微生物タンパク質粉末の生産を目指すとしている。アップサイクルされたタンパク質を、既存のタンパク質代替品と競争可能な規模で生産することを目標に掲げている。

廃棄物から価値へ:AIと発酵技術で廃棄野菜をタンパク質粉末へ変える
(出典:いずれもCSIRO)

発酵は、パンやチーズ、ワインなどの食品保存技術として長年利用されてきた。同プロジェクトでは、発酵とAIを組み合わせ、循環型バイオエコノミーの枠組みの中で農産食品廃棄物の活用可能性を検討する。

CSIROのプロジェクトリーダーであるカイ・クノーツァー(Kai Knoerzer)博士は、「本プロジェクトでは国際的な研究者と協力し、AI、発酵科学、実際のケーススタディーを組み合わせることで、産業界が農産食品廃棄物を持続可能なタンパク質へと大規模に転換できるよう支援します」と述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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