オーストラリアとカナダは2026年3月5日、両国関係を強化する共同声明を発表し、人工知能(AI)や先端技術分野での協力拡大を打ち出した。声明は、投資、エネルギー、安全保障、重要鉱物など多分野にわたるが、とりわけAIと高度技術研究を両国の戦略的協力の柱として位置づけている。
声明では、AIの急速な発展に伴うリスクと機会に対応するため、両国のAI安全研究所間の連携強化を確認した。今後はAIシステムの評価手法やリスク軽減策の研究、情報共有、人材交流などを進め、信頼性の高いAI開発の基盤づくりを目指す。AIの安全性や透明性を確保する研究体制を共同で整備することで、国際的な技術ガバナンスへの貢献も狙う。
さらに両国は、インドを含めた3か国の技術協力枠組みである「豪加印技術・イノベーション・パートナーシップ」の進展も歓迎した。AI担当閣僚会合の開催を踏まえ、3か国でAIやデジタル技術に関する共同作業計画を策定する。協力分野にはデジタルインフラ、半導体・電子機器製造、高性能計算、IoT、サイバーセキュリティ、スタートアップ支援などが含まれる。3か国はまた、AIの主権性や信頼性、包摂性を確保する政策対話や、技能開発・人材育成を通じた能力構築でも連携を進める方針だ。
AIや半導体産業を支える重要鉱物の供給網強化も協力の柱となる。資源国であるオーストラリアとカナダ両国は、リチウムなど先端産業に不可欠な資源の安定供給を通じ、技術競争力の強化を図る考えだ。
大学間協力も具体化している。カナダの アルバータ大学とオーストラリアの クイーンズランド大学は覚書を締結し、AIや量子技術、先端製造、宇宙研究などの分野で共同研究や研究者交流を進める。先端技術の研究成果を産業化につなげる取り組みも視野に入れる。
米中を中心にAI競争が激化する中、オーストラリアとカナダは民主主義国同士の連携を通じ、技術開発と安全保障を両立させる枠組みづくりを模索している。両国は今後、研究連携やサプライチェーン協力、インドを含む3か国協力を通じて、AIを含む先端技術分野での戦略的パートナーシップをさらに強化する方針だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部