オーストラリア産業・科学・資源省(DISR)は2月19日、オーストラリア・インド戦略研究ファンド(AISRF)第16回公募において、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、再製造、RNAワクチンなど両国の優先分野に関する5件の共同研究プロジェクトに総額380万豪ドルの研究資金を拠出すると発表した。

(出典:豪政府)
AISRFは、科学分野に特化したオーストラリア政府最大の二国間研究支援プログラムである。2006年以降、370件以上の共同研究活動を支援してきた。第16回の共同研究プロジェクトでは、1件当たり20万~100万豪ドルの助成が設定され、両国に共通する優先分野と課題への対応が求められた。
採択された研究の1つでは、オーストラリアのラ・トローブ大学とインド工科大学インドール校(IIT-I)が連携し、使用済み太陽光発電パネル(PVパネル)を再利用した断熱パネルの開発に取り組む。ガラスやシリコンウエハーなど処理が難しい部材の高付加価値再利用を目指す。
また、オーストラリアのモナシュ大学とインド国立植物ゲノム研究所(NIPGR)は、AIとゲノム編集を用いて植物の耐熱性を高める研究を進める。対象は、インドとオーストラリアにとって重要な主食作物であるコメであり、農業生産性の向上を目的とする。
このほか、オーストラリアのサザンクイーンズランド大学とインド工科大学マドラス校(IIT-M)は、グリーン溶媒、イオン液体、バイオリーチングを用いた廃電池からの重要資源回収技術を開発する。オーストラリアのクイーンズランド医学研究所評議会とCBI医学教育協会は、同種T細胞の生産に関する抗ウイルス技術を研究する。さらに、オーストラリアのクイーンズランド工科大学(QUT)とインドラプラスタ情報技術大学デリー校(IIIT-Delhi)は、量子機械学習に基づく自律システム向けの防御メカニズムを設計し、自動運転車などにおける量子コンピューティングの安全な利用を検証する。
AISRFでは若手・中堅研究者向けフェローシップも実施する。第5回プログラムでは、オーストラリアの研究者12人がインドの主要科学機関で1~3カ月の共同研究を行い、研究ネットワークの構築や機関間の連携強化を図る。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部