2026年03月
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AI利用の拡大に伴う環境負荷の増加を指摘 NZオークランド大学

ニュージーランドのオークランド大学は2月25日、人工知能(AI)の利用拡大に伴い、データセンターの電力消費や温室効果ガス排出が増加している実態について、同大学研究者の見解を紹介する記事を公開した。

同大学理学部のコンピューター科学者マーク・ガヘガン(Mark Gahegan)教授によると、AIの環境負荷の多くは、ユーザーがAIに質問するなどの個々の利用行為ではなく、その背後で稼働するデータセンターに由来する。データセンターでは膨大な計算処理を行うコンピューターが24時間稼働しており、大量の電力を消費するとともに、過熱を防ぐための継続的な冷却が必要になる。

世界のデータセンターはすでにエネルギー関連排出量の0.5~1%を占め、電力需要の増加が最も速い分野の一つとされる。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの電力消費は2024年に約415TW時に達し、世界の電力使用量の約1.5%を占めた。

一方、個々のAI利用による電力消費は比較的小さい。OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOによると、平均的なChatGPTの質問1回当たりの消費電力は約0.34ワット時で、オーブンが約1秒使用する電力量に相当する。ただし、AIの環境コストの多くは巨大なAIモデルの訓練と、その利用拡大の過程で生じる。例えばGPT-4の初期訓練では、約5200万~6200万キロワット時の電力が消費されたとされる。

同教授は、AIは大量のエネルギーを消費する一方で、排出削減に役立つ可能性もあると指摘する。AIはメタン漏れの検出、発電所の運用最適化、建物のエネルギー管理、輸送効率の改善などに活用できるほか、気象予測などの科学計算の効率化にも利用されている。またニュージーランドではクラウドサービスの多くが海外のデータセンターに依存しており、国内の利用でも電力消費が海外で発生する場合が多いと説明している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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