オーストラリアのディーキン大学は3月5日、トラウマ関連のメンタルヘルスとウェルビーイングの専門機関であるフェニックス・オーストラリアと共同で、ラベンダーオイル製剤「シレキサン」を心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療選択肢として検証する臨床試験「STOP試験」を進めていると発表した。
STOP試験は、PTSDの成人患者を対象に、通常治療にシレキサンを追加した場合に症状改善がみられるかを調べるものだ。参加者は12週間、ラベンダーオイル製剤またはプラセボのカプセルを毎日服用し、通常の薬物療法や心理療法は継続できる。オーストラリア国内に住む成人が対象で、対面またはZoomで参加でき、治験薬は郵送される。参加者は7回の評価を受け、1回ごとに50豪ドルが支払われる。
ディーキン大学の心身医学・臨床応用研究所(IMPACT)所長のマイケル・バーク(Michael Berk)教授によると、オーストラリアでは約10人に1人が生涯のどこかでPTSDを経験し、現在の標準的な治療を受けても約40%は改善しないという。同教授は、STOP試験で用いるシレキサンは、全般性不安障害やうつ病の治療で既に使われており、安全性と有効性が示されていると説明する。今回の試験では、PTSD症状にも有効かどうかを確かめることになる。
共同研究者でフェニックス・オーストラリアのラフル・カンナ(Rahul Khanna)博士は、副作用の少なさが利点だと説明する。副作用は使用者の約6%にみられるが、げっぷやラベンダー臭のある息など軽い胃腸症状に限られるという。
本試験は米国のCongressionally Directed Medical Research Programsによる300万豪ドルの助成を受けて実施されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部