2026年04月
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ESO加盟の必要性を提言 豪ニューサウスウェールズ大学

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)は3月17日、同国がヨーロッパ南天天文台(ESO)に加盟することで、世界最先端の望遠鏡への長期的なアクセスを確保し、科学研究とハイテク産業を強化できるとする報告書を公表した。

報告書は、天文学と天体物理学が科学的発見にとどまらず、技術開発や先端工学、高度なデータサイエンス人材の育成を通じて幅広い波及効果を持つと分析した。報告書の作成を主導したリチャード・ホールデン(Richard Holden)教授は、知識の蓄積への貢献が国の成長と繁栄につながると強調した。サラ・ブロー(Sarah Brough)教授も、天文学向け観測機器の製造には高度な光学、電子工学、精密工学が必要であり、これがオーストラリア企業の新たな事業機会を生み出してきたと説明した。報告書では、オーストラリアの天文学研究が年間約3億3000万豪ドルの経済価値を生み出していると指摘している。

オーストラリアは2017年半ばから戦略的パートナーシップを通じてESOに参加し、チリ・アタカマ砂漠にある超大型望遠鏡(VLT)などを利用してきた。しかし、この協定は2027年に期限を迎える予定で、その後の光学天文学研究をどう支えるかは決まっていない。ESOの正式加盟が実現すれば、建設中の直径39mの鏡を持つELTへのアクセスも可能になる。ELTは宇宙初期の銀河形成や遠方の恒星を周回する惑星大気の観測に重要とされる。

オーストラリアは西オーストラリア州と南アフリカで建設が進む1平方キロメートル電波干渉計(SKA)にも関わっているが、ブロー教授は、ガスを観測するSKAと星を観測するELTは相補的な存在であり、最先端研究には両方が必要だと指摘した。ESO加盟費は年間約4000万豪ドルで、現金のほか機器提供や技術支援といった現物拠出も可能とされる。連邦政府は現在、ESO側の提案を検討しているという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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