2026年04月
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光が液体のように振る舞う「量子液滴」を理論予測 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は3月18日、国際研究チームが半導体マイクロキャビティー内部で、光が液体のように振る舞う自己結合型の「量子液滴」を理論的に予測したと発表した。研究成果は学術誌Physical Review Lettersに掲載された。

研究チームは、光子と励起子が強く結合して生じる励起子ポラリトンに着目した。原子層レベルの薄い半導体層を含む微小空洞の中で、2種類のスピンを持つポラリトンの引力と斥力のバランスを精密に調整すると、量子ゆらぎが働いて新たな相が安定化し、外部からの拘束がなくても一定密度を保つ液滴状の状態が生じるという。

この液滴は、通常の液体のように表面張力で保たれるのではなく、純粋に量子力学的効果によって成り立つ点が特徴である。研究チームは、こうした現象が遷移金属ダイカルコゲナイド単層膜を用いた最先端マイクロキャビティープラットフォームなど、現在実現可能な実験条件でも現れると見込んでいる。液滴サイズは約10µmと予測され、特徴的な励起スペクトルや平坦な密度分布を手がかりに、現在の画像化技術で検出可能とみられる。

筆頭著者のマッテオ・カルダラ(Matteo Caldara)博士は、光が液体のように振る舞うのを見ることは、単なる好奇心にとどまらず、チップ上で設計できる量子物質の新たな領域への入り口だと述べた。研究チームは、超低密度で形成されるこの液滴が、ポラリトン凝縮のしきい値を大きく下げ、量子的なフォトニックデバイスの実現を近づける可能性があるとみている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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