2026年05月
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黄銅鉱の化学的複雑性を解明、持続可能な銅抽出へ 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は4月15日、同大学の地球・大気・環境スクールの研究チームが、世界の銅供給の約70%を占める黄銅鉱の化学的複雑性を解明し、より持続可能な銅抽出を可能にし得ることを示したと発表した。研究成果は学術誌Nature Geoscienceに掲載された。

黄銅鉱は300年以上前から知られているが、低温浸出に対して抵抗性を示し、低品位鉱石からの銅抽出を困難にしてきた。この非効率性は、再生可能エネルギーシステムや電気自動車、現代インフラに不可欠な銅需要が増大する中で、重要な制約となっている。

モナシュ大学のジョエル・ブルッガー(Joël Brugger)教授およびバーバラ・エッチマン(Barbara Etschmann)博士らによる研究では、黄銅鉱が極めて複雑な挙動を示し、その挙動が銅抽出効率を制限してきたこと、またこの複雑性が欠点ではなく機会であることが示された。さらに、銀などの微量元素が鉱物表面の反応性に影響を与え、銅抽出に関わる反応サイクルを引き起こすことが明らかとなった。

従来、単純と考えられてきた黄銅鉱の結晶構造には、実際には微細な欠陥や銀、金、ニッケルなどの微量元素が含まれており、微細な欠陥やこれらの微量元素が処理過程における反応性や銅回収量を左右することが示された。特に微量の銀は鉱物表面を不安定化させることで反応サイクルを誘発し、銅抽出効率を大きく改善し得る。

同博士は、銀のような微量元素が原子レベルで黄銅鉱とどのように相互作用するかを理解することで、より標的を絞った抽出法の設計が可能になるとし、より少ないエネルギーと化学物質で同一資源からより多くの銅を回収できる可能性を示した。また黄銅鉱の原子構造は、太陽電池や光検出器、エネルギー変換デバイスに用いられる半導体材料群の基盤でもあり、低炭素社会における重要鉱物の処理方法の再考を求める成果である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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