2026年05月
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ハンタウイルスが臓器別に重症化する謎解明へ 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は5月6日、げっ歯類が媒介するハンタウイルスについて、同機構の研究者らが感染の広がり方や、株によって肺や腎臓など特定の臓器を標的にし、重症度が異なる理由を調べていることを紹介した。

ハンタウイルスの世界的専門家であるグレン・マシュー(Glenn Marsh) 教授
(出典:CSIRO)

ハンタウイルスは有人大陸すべてに存在し、さまざまなネズミ類が保有するウイルス群である。保有動物は発症しないが、糞、尿、唾液中にウイルスを排出し、人では感染はまれながら、人、動物、環境の近接によって病気が広がり得る。クルーズ船「MVホンディウス」の乗客の発症や死亡で世界的に注目される中、CSIROのオーストラリア疾病対策センター(ACDP)のグレン・マシュー(Glenn Marsh) 教授は、ハンタウイルスはげっ歯類により静かに運ばれると説明する。

人での感染症は株により大きく2つに分かれる。欧州とアジアでは腎症候性出血熱(HFRS)が主で、発熱、頭痛、背部痛、腹痛を起こし、重症例では腎不全や出血を伴う。アジアの一部で重い疾患を起こすハンターンウイルスは致死率が最大15%である一方、欧州でヨーロッパヤチネズミが媒介するプーマラウイルスは比較的軽く、通常1%を大きく下回る。

米州では肺と心臓に影響するハンタウイルス心肺症候群(HCS)が多く、発熱、筋肉痛、疲労感から始まり、肺に液体がたまって重い呼吸不全へ急速に進むことがある。HCSの死亡率は35%を超え、米州で動物から人へ広がる病気の中でも致死性が高い。感染は主に、乾燥したげっ歯類の排せつ物や巣材が清掃、農作業、キャンプなどで舞い上がり、ウイルスを含む空気を吸い込むことで起こる。多くは人から人へ感染しないが、アルゼンチンとチリのアンデス地域のアンデスウイルスは例外で、濃厚接触により感染し得る。致死率は35~50%と推定される。

オーストラリアでは人の確定例は記録されていないが、一部のげっ歯類で抗体が検出され、関連ウイルスが低レベルで存在する可能性がある。ACDPでは、人の組織を精密に模倣する高度な実験モデルを用い、ハンタウイルスが細胞に感染し、体が応答する仕組みを比較している。研究は、野生動物から人へ波及する人獣共通感染症への理解を深め、将来の健康上の脅威への備えを支える。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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