オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は5月28日、オーストラリア、欧州、米国の研究者らが、地球から月・火星まで、国境や惑星を越えて機能する一貫した地質図の重要性を示したと発表した。研究成果は学術誌Nature Geoscienceに掲載された。

サーペンタイン湾での野外調査
地質図は、景観や天然資源、地球や他の天体を形づくる過程を理解する基盤であり、どこに建設し、何を保護し、現代生活に必要な鉱物をどこで探すかといった判断を支えている。オーストラリアでは、乾燥地域の地下水発見、森林火災・洪水・地滑りリスクの評価、ピルバラ、イルガーン・クラトン、ゴーラー・クラトンといった広大な地質地域での鉱物探査に使われている。
現代の地質マッピングは、野外調査に加え、衛星、航空機搭載センサー、海洋調査を組み合わせ、植生、土壌、古い堆積被覆、海の下に隠れた特徴を明らかにしている。一方、データが分断されたシステムに置かれたり、同じ特徴に異なる用語が使われたりすると、地域社会、政府、産業界が利用できる明確で一貫した地図にしにくい。
従来は広い地域を図幅と呼ばれる小区画に分けて地図化してきたが、チームごとに岩石単位や地質境界の解釈が異なり、図幅の端がうまくつながらないことがある。CSIROの上席主席研究科学者イェンス・クルンプ(Jens Klump)博士は、こうした不整合は全体像の把握を難しくすると指摘し、「地質過程は、州、国、大陸の境界で止まるものではありません」と述べた。
同じ課題は月や火星の地質図にも及ぶ。火山活動、天体衝突、断層運動、侵食は岩石天体にも共通し、火星の湖や川の痕跡、月の衝突クレーターを地図化することで、惑星の歴史の再構成や、水氷などの資源が存在し得る場所の評価につながる。極域、深海、砂漠、山岳地帯では衛星やドローン、地球物理センサーが不可欠で、月・火星では周回機や探査車などのデータを統合する必要がある。

月の地質図。1960年代に異なる地図製作者によって作成された断片的な四角形地図(a)から、より明確な比較、解釈、科学的分析を可能にする、一貫性のあるグローバルな視点を提供する統一された現代の地図(b)へと、解像度の進化を示している。 © https://www.nature.com/articles/s41561-026-01968-5/figures/1
(出典:いずれもCSIRO)
同博士は、地球で数十年にわたり生じた問題を避けるため、共有標準と調和した概念を導入する国際研究に参加している。将来の地質図作成者には、従来の地質学と現代的なデジタル技術の双方の技能が求められる。気候変動への圧力が高まり、重要鉱物への需要が増加し、宇宙探査が加速する中、同博士は「地質図は岩石の位置を示すだけでなく、惑星を形づくる過程と、それらを賢明に管理するために必要な知識を捉えるものです」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部