オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は7月17日、同大学とネピアン・ブルー・マウンテンズ地方保健地区の研究者らが、小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に使われるデキストロアンフェタミンとメチルフェニデートは同等に有効だが、デキストロアンフェタミンでは体重減少が大きいことを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Journal of Paediatrics and Child Healthに掲載された。

(出典:シドニー大学)
両機関が主導・実施した非盲検ランダム化比較試験には、ADHDと診断され、いずれの薬剤による治療歴もない小児100人が参加した。この試験デザインで両薬剤を直接比較し、小児を12カ月間追跡した研究は世界でも数少ない。
治療中、両群ともADHD症状が大幅に改善し、薬剤間の有効性に有意差はなかった。治療薬を無作為に割り当ててから12カ月後も、ほとんどの小児が割り当てられた薬剤による治療を続けていた。一方、治療開始後3カ月間の平均体重減少量は、メチルフェニデート群の300gに対し、デキストロアンフェタミン群では1.4kgと有意に大きかった。初期の体重減少には差があったものの、身長の伸びに対する影響には有意差がなかった。
世界では2021年、20歳未満の約4700万人がADHDを抱え、有病率は1.78%と推定された。オーストラリアの小児では約8.2%で、同国でADHD治療薬を処方された18歳未満の人数は、2023年には2013年の約2.5倍となった。
研究の筆頭著者で、シドニー大学ネピアン臨床学校と脳・精神センターの小児科学・小児保健学上級講師を務めるアリソン・ポールトン(Alison Poulton)博士は、「両薬剤はADHD症状の改善に同等の効果を示しました。1年後もほとんどの小児が当初の中枢刺激薬を服用していたことから、どちらの薬剤に対する満足度も同程度だったと考えられます」と説明した。また、「主な違いは、デキストロアンフェタミンを服用した小児の体重減少がより大きかったことです。これは治療薬を選び、成長を見守る上で重要な点です」と指摘した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部