ニュージーランドのカンタベリー大学(UC)は7月27日、UCビジネススクールの教授と共同研究者が、文化的多様性を後付けではなく設計当初から考慮し、異なる文化的背景でも自然で信頼できる人工知能(AI)チャットボットを構築するための実践的モデル「文化応答型AI(チャットボット)フレームワーク(CRAIF-C)」を提案したと発表した。
UCビジネススクール経営・マーケティング・観光学科長のビク・ナイドゥ(Vik Naidoo)教授と共著者のカーマン・カウル・チャダ(Karman Kaur Chadha)氏は、主に西洋的な前提に基づくAIシステムは、異なる文化的環境では十分に機能しないことが多いと指摘する。やり取りがぎこちなくなり、信頼や利用者の関与が低下し、本来サービスを提供すべき人々の役に立たない恐れがある。
CRAIF-Cは、文化的規範、言語、文脈をデータと設計に組み込む「文化化」、口調、会話のペース、表現様式をリアルタイムで調整する「適応型対話」、文化的に適切な説明を提供する「説明可能性と透明性」、管理、文化的リスク評価、地域社会の意見を反映した審査を組み込む「ガバナンスと説明責任」の4要素で構成される。訓練データや対話設計から説明、ガバナンスまで、文化への適合を中核的な設計要件として扱う。
同教授はシドニーのAI開発企業で、最後に英語の出力を翻訳するだけでなく、設計当初から異文化間コミュニケーションを考慮するよう技術者の訓練を支援した。同社はインドネシア、タイ、ベトナムなどでチャットボットを導入したが、期待した利用者の関与を得られなかった。西洋では天気の世間話から始めても、ジャカルタでは交通事情を尋ねる方が自然で身近に感じられることがあるという。この問題は国際的な組織だけでなく、ニュージーランドやオーストラリアのような文化的に多様な国にも重要だとしている。
同教授は「AIを巡る議論はコスト削減と効率性に大きく偏っていますが、マーケティングとエンドユーザーの観点から本当に問うべきなのは、価値を生み出しているかどうかです。人々が技術を信頼できず、関わることもできなければ、問題を解決したことにはなりません」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部