オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は8月4日、富士通、オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)、CSIROが了解覚書(MoU)を締結し、同国の研究者・学生に富士通の先進的な量子システムとシミュレーターの利用機会を提供すると発表した。

左から、小野田紀美経済安全保障担当相、CSIROのアンソニー・チェスマン(Anthony Chesman)博士、富士通の岡井純吾(Jungo Okai)氏、クオンタム・オーストラリア(Quantum Australia)のペトラ・アンドレン(Petra Andrén)氏、モナシュ大学のジョン・キャロル(John Carroll)教授
(出典:CSIRO)
連携の目的は、実用的な量子応用の開発加速、オーストラリアの量子技術力強化、新興の量子経済に備えた人材育成である。また、量子科学・技術・イノベーションに関して日豪が新たに締結した協力覚書も支援する。量子コンピューティングは、特定の問題を従来型より高速かつ強力に分析でき、サイバーセキュリティー、医療、脱炭素化、気候科学などへの応用が期待される。
3機関は、富士通の量子技術・インフラ、モナシュ大学の研究・教育に関する専門知識、CSIROの応用科学能力を結集する。モナシュ大学とCSIROの研究者・学生は、富士通の量子システムとシミュレーターを利用し、先進コンピューティング、量子ソフトウェア、新たな量子応用を研究する。また、モナシュ大学情報技術学部を拠点に、共同研究、研修、産業界との連携の中核となる共同の量子研究・教育施設を設置する可能性も検討する。
重点項目は以下3点である。
富士通オセアニアCEOのピーター・グラッシ(Peter Grassi)氏は、両国の量子エコシステムの強みを結び、量子技術の画期的成果を現実の成果へつなげる機会になると述べた。CSIROテクノロジーディレクターのカーチャ・ディグウィード(Katja Digweed)博士は「高度な科学的能力を適切なソフトウェアやアルゴリズムと結び付けることで、量子コンピューティングをサイバーセキュリティー、医療、気候科学などでの実用化に近づけることができます」と説明した。モナシュ大学副学長(研究・企業担当)兼上級副学長のロビン・ウォード(Robyn Ward)教授は、社会に役立つ技術への転換には大学、産業界、政府の緊密な協力が必要だと指摘した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部