オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)は8月11日、高齢化や人手不足、ケア需要の増大への対応策として、高齢者介護、自閉症支援、リハビリテーション、小児医療、在宅支援、医療従事者の業務支援への導入が進むケアロボットについて、誰が恩恵を受け、誰が取り残される可能性があるのかを問う必要があると発表した。
同大学の情報システム・ビジネスアナリティクス分野の上級講師、レザ・カシュイ(Reza Kachouie)博士と、ボンド大学データ・アナリティクスセンターの助教授、ベリンダ・バートン(Belinda Barton)博士は、代替的な医療提供手法は健康格差を縮小する方法として推進される一方、パンデミックでは技術への不平等なアクセスが既存のケア格差を固定し、サービスの恩恵を誰が受けるかを左右し得ることが示されたと指摘した。
会話、動作、促し、感情的な働きかけを通じて人と交流する「社会支援ロボット」は、認知症の人への支援、自閉症の子どもへの構造化された予測可能な社会的交流の提供、リハビリ運動の指導、医療処置を受ける子どもを安心させること、医療従事者の日常業務の補助に使われている。患者や家族には追加支援、一貫性、利用しやすさをもたらし、負担増や燃え尽きに直面する医療従事者には、複雑で人中心のケアに充てる時間を確保する可能性がある。
ただし、ロボットが家庭やケアの場からデータを収集することによる監視・プライバシー上の懸念や、故障、不適切な応答、患者のニーズを満たせなかった場合の責任が課題となる。特定の文化、言語、ケア慣行を前提とした設計は多様な地域社会に対応できず、地方、遠隔地、資源の乏しいサービスは導入・維持が困難となる恐れもある。
カシュイ博士は「ケアロボットを、単に購入して配備できる消費者向け機器として扱うべきではありません。設計、導入、長期評価を通じた強固なガバナンスが必要です」と述べた。バートン博士は、患者、家族、介護者、医療従事者を交えた包摂的な共同設計、強力なプライバシー・データ保護、人間による監督と説明責任、ケア業務への統合、継続保守・支援、提供者と技術ベンダーの責任明確化が必要とした。両博士は、ロボットに何ができるかだけでなく、誰が、どのような状況で、どの程度の期間にわたり恩恵を受けるのかについての証拠が不可欠だと強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部