2026年09月
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量子もつれで重要インフラへの侵害をリアルタイムに検証 豪UNSW

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)は8月11日、同大学発スタートアップのクオンタム・ロック(Quantum Lock)社が、量子もつれを利用し、発電所、データセンター、ドローン、人工衛星などの組み込み機器が侵害されたかを確実かつリアルタイムに検証する技術の商用化を進めていると発表した。

ロシア軍によるウクライナの発電設備制御システムへの侵入や、ハッキングされたモデムにより米国の人工衛星が使用不能になった事例は、重要インフラ防御の盲点を示す。多くの攻撃者にとって最初の侵入自体は最終目的ではなく、その後ネットワーク内を移動しようとするため、同社の技術は最初の侵害を継続監視で捉え、攻撃者が狙う被害を防ぐ。

中核となる量子もつれでは、離れた2粒子が結び付いた状態を保ち、一方を測定すると他方にも瞬時に影響が及ぶ。同社はこの現象を応用し、敵対者が密かに傍受したり通信相手になりすましたりできない経路で、2地点間の量子状態を伝送する「量子テレポーター」を開発している。もつれた光子は衛星や光ファイバーで分配できるという。通信経路を偽造できないため、対象機器が本来の機器であるか、侵害されているかを直ちに確認できる。

創業者のジェシー・ラウクリ(Jesse Laeuchli)博士は、米国で素粒子物理シミュレーションの博士号を取得後、国家安全保障局(NSA)を含む米政府機関に5年間勤務し、中央情報局(CIA)勤務を経てオーストラリアに移った。現在はUNSWサイバーセキュリティ研究所のメンバーで、同大学コンピューター科学工学部で教える。同社はDefence TrailblazerとQuantum Australiaを通じて資金を得たほか、製品の商用化に向けて豪州のベンチャーキャピタルから120万豪ドルを調達した。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)社およびJPモルガン社とは、データセンターと金融システムの保護について初期協議を行った。

チームは実環境への導入が「非常に近い」としており、年内に米国で試験と資金調達を予定する。同博士は「私は常にこの技術を信じてきましたが、優れた技術であることと優れた事業であることの間には隔たりがあります。これなら研究だけでなく、事業として成功できるかもしれないと思いました」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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