オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は9月2日、ブリスベン郊外のプレンベールに、微小なフォトニックチップを実用技術に使用できる状態にする国内初の施設「クイーンズランド先端フォトニクス・パッケージング・センター(Q-APP)」を開設したと発表した。
Q-APPは、CSIROのクイーンズランド先端技術センター(QCAT)内に設置された。フォトニックチップは光を利用して超高速でデータを処理し、標準的なシリコンチップよりエネルギー効率が高い。Q-APPでは、専用装置を用い、清浄な環境下でチップを構成する微細で複雑な部品を接続、試験する。これにより、医療、量子コンピューティング、鉱業、火災検知、建設に応用できる光ファイバー通信や高度センシング技術の開発が期待される。
CSIROの研究グループリーダー、カーステン・ヘーン(Karsten Hoehn)氏は「Q-APPはアイデアと現実の隔たりを埋め、オーストラリアの研究者や企業が、フォトニックチップを国内で製作、試験するために必要な専門知識と装置を利用できるようにします」と述べた。さらに、同施設によって次世代コンピューティングの開発をより柔軟かつ迅速に進められ、高速通信、先進製造、将来の量子システムの実現に一歩近づくと説明した。600万豪ドルを投じた同施設の開設前は、フォトニックチップの部品をパッケージングのため海外へ送る必要があった。
クイーンズランド州首席科学官のケリー・ウィルソン(Kerrie Wilson)博士は、同施設が州の量子・先端技術分野の成長と、必要な人材の育成を支えると説明した。Q-APPは主に州政府の「量子・先端技術商業化インフラ・プログラム」の資金で整備された。同プログラムは、スタートアップ企業と産業界による試作機器の開発・商業化を加速し、州内で成長しつつある量子・先端技術分野と人材基盤を強化することを目的としている。

(左)研究者が実験室で、顕微鏡を用いたイメージングシステムを操作し、精密光学装置を調整している。
(右)研究者が試験用のチップを検査している。

(左)研究者が実験室での試験・パッケージング中に、精密ピンセットを使ってデバイスの位置を調整している。
(右)研究者らがクリーンルーム内で、顕微鏡と精密加工装置を用いてフォトニックチップを検査している。
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部