オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)は9月11日、同大学などの研究チームが西オーストラリア州ピルバラ地域のジューカン2岩陰遺跡でタスマニアデビルの化石を発見し、同地域に生息していたことを示す初の明白な証拠を確認したと発表した。研究成果は学術誌Archaeology in Oceaniaに掲載された。
ジューカン2はハマーズリー高原西部にあった岩陰遺跡で、人々は少なくとも4万7000年前から利用していた。動物遺骸と石器との明白な関連が確認された、オーストラリア本土北部で唯一知られる更新世の考古遺跡で、人間、動物、環境変化の詳細な記録を残す。
有力な証拠は2点の化石である。第1、第2臼歯が残る下顎骨片は周囲の堆積物から6900~7300年前、第1または第2小臼歯の破片は4万2500~4万7100年前と年代測定された。研究者らは動物骨8000点超も調べ、1000点超に主に齧歯類のほか、フクロネコやタスマニアデビルなどの咀嚼痕を確認した。骨55点の分析では、少なくとも10点の歯によるくぼみやかじり痕がタスマニアデビルのものに最も近かった。消化された骨片263点も、骨を食べる大型のフクロネコ科動物によるものと最もよく一致した。
化石、歯形、消化された骨は、タスマニアデビルが数万年にわたり繰り返しジューカン2岩陰遺跡で死骸を漁り、大きな環境変化を乗り越えたことを示す。中・大型動物の骨の多くは人々が岩陰へ運んで解体したもので、その骨に咀嚼痕があることから、人間のキャンプが数万年にわたり、タスマニアデビルに予測可能な死骸漁りの機会を与えた可能性がある。ただし、2点の化石自体に解体、調理、食用の痕跡はない。
タスマニアデビルは、ディンゴが大陸に広がった後の約3200年前に本土から姿を消した。研究者らは、ディンゴが人間のキャンプ周辺でタスマニアデビルに取って代わり、安定した食料源を利用しにくくした可能性を示した。ただし、ディンゴが絶滅を引き起こしたことはまだ証明できないとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部