2026年10月
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原子層ほど薄い半導体で電気分極の微小な渦を直接観測 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学は9月14日、同大学が主導する国際研究チームが、原子層レベルの薄さの半導体内にあるメロンとアンチメロンと呼ばれる電気分極の微小な渦状構造を直接画像化したと発表した。研究成果は学術誌Science Advancesに掲載された。

研究チームは、半導体の二セレン化タングステン(WSe2)の原子層ほど薄い2層を重ね、わずか0.1度ねじることで、モアレ超格子と呼ばれるナノスケールの周期的パターンを作り出した。高解像度画像を用いて、このパターン内の電気分極の挙動をマッピングし、メロンとアンチメロンのネットワークを直接捉えた。共同筆頭著者で、研究当時モナシュ大学の博士課程学生、現在はディーキン大学の博士研究員であるエミリー・ヴー(Emily Vu)博士は、ねじれた二次元半導体にこうした特異なトポロジカル構造が存在することを示す実験的証拠を得たと説明した。

研究チームは、圧電応答力顕微鏡(PFM)を使い、微小角でねじれた二層WSe2の分極成分とトポロジカル分極ナノ構造を空間的に分解した。ベクトルマップの作成により、ねじれとひずみの影響を区別し、モアレ超格子に対するそれぞれの寄与を定量化した。理論モデルと大規模シミュレーションも循環する分極を再現し、メロンとアンチメロンに予想される特性を確認した。

共同筆頭著者で、元ハーバード大学博士研究員、現在はシンガポールの南洋理工大学(NTU)のダニエル・ベネット(Daniel Bennett)助教授は「異なる試料とねじれ角でのPFM測定を、密度汎関数理論(DFT)とモアレスケールの分子動力学モデルで裏付けたところ、同じ分極の循環と巻き数が明らかになりました。これは、ねじれた半導体に実在するメロンとアンチメロンについて、これまでで最も明確な証拠です」と述べた。

トポロジカル分極構造は従来、主に、はるかに厚い酸化物材料で観察されてきたが、本研究では数原子分の厚さしかない半導体二層にメロンとアンチメロンのネットワークが現れた。電場やひずみ、人工的に設計した基板によってナノスケール状態を操作する超薄型・低消費電力電子デバイスの開発につながる可能性がある。最終著者はモナシュ大学物理学・天文学部のマーク・エドモンズ(Mark Edmonds)准教授で、研究には同大学、NTU、日本の物質・材料研究機構(NIMS)など18機関が参加した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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