オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は9月18日、CSIROとSKA天文台の研究者らがASKAP電波望遠鏡の観測データからこれまでで最も詳細な宇宙の磁場地図を作成し、天の川と望遠鏡を撮影したパノラマ写真に重ねて、目に見えない磁場を画像で表現したと発表した。
アレック・トムソン(Alec Thomson)博士が率いる国際チームは、ASKAPが収集した遠方の400万の銀河に関するデータのうち、35万の銀河のデータを使った。銀河からの光が磁場を通る際にどのようにねじれるかを追跡し、ASKAP高速電波連続波サーベイ(RACS)のデータから磁場に関する情報を抽出した。SPICE-RACSと名付けられた地図は、過去の取り組み全てを合わせたものの5倍の規模に及ぶ。同博士によると、この地図は近くの星々の間にある物質の細部や多数の遠方銀河を調べ、宇宙でのエネルギーの移動や銀河の形成と進化を理解する助けになる。データはCSIROのポータルで公開されている。
アレックス・チャーニー(Alex Cherney)氏のパノラマ写真は、水素アルファ線用ローパスフィルターを用いて天体撮影向けに改造したCanon 6Dで撮影し、PTGUIで写真をつなぎ合わせた後、Adobe Photoshopで画像処理したもの。撮影条件は焦点距離15ミリメートル、絞りf/2.8、ISO感度3200、露光時間30秒。
写真を撮影したのは、天体写真家のアレックス・チャーニー(Alex Cherney)氏。パースから北へ約800キロメートルのCSIROマーチソン電波天文台では、電子機器のノイズが高感度の観測を妨げるため、通常は撮影が認められない。同氏はASKAPが空を観測していない夜、天の川が沈み始めて理想的な位置に来るのを待ち、1枚当たり30秒露光した写真10枚をつなぎ合わせてパノラマ写真を作成した。
デジタルアーティストのサム・ムーアフィールド(Sam Moorfield)氏は、同博士が磁場の向きを赤と青で示した地図を写真に重ねた。赤は地球に向かう磁場、青は地球から遠ざかる磁場を示す。地図に含まれるマゼラン雲や天の川の面などを基準とする銀河座標を使い、両画像の位置を正確に合わせた。さらに地平線にほのかな光を加え、地図が木々や望遠鏡の背後に正しく収まるよう配置した。同氏は「正確さが全てです。画像を組み合わせるときに『だいたい合っていればよい』というわけにはいきません」と語った。
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部