オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は9月22日、同機構の調査船に乗った学生らが沈没船を取り囲む海底のくぼみを確認し、海洋生物の活動でできたとみられるくぼみが、隠れた沈没船を探す手掛かりになると発表した。

海底の謎のくぼみが輪状に取り囲む沈没船「Althea II」(赤色)の海底地形図。画像:CSIRO
2026年9月、オーストラリアの大学生20人は調査船インベスティゲーター号でブリスベンからフィジーへ向かう海上研修に参加した。クイーンズランド州バンダバーグ沖の水深40メートルに沈む「Althea II」の海底地図を作成中、船を囲む円形のくぼみを見つけた。クイーンズランド工科大学で地質学を学ぶ優等課程のララ・ピクトン(Lara Picton)氏によると、くぼみは約300個あり、典型的な大きさは直径約8メートル、深さ約2メートルであった。船から四方約100メートルまで広がり、船をほぼ完全な円状に取り囲んでいた。

沈没船「Althea II」は海洋生物にとってのオアシスとなっており、海底の謎のくぼみに輪状に囲まれている。画像:CSIRO
投下式カメラで撮影した現場には、大型魚を含む多様な海洋生物がいた。映像は、生物が堆積物を動かし混ぜる「生物攪拌」によってくぼみができたことを示唆した。サンシャインコースト大学で海洋生物学を研究する博士課程のマディソン・クロス(Maddison Cross)氏は、魚や甲殻類が採餌や巣穴掘りによって海底をかき乱すと説明。チームは、大型の捕食魚がくぼみをつくる主な生物かもしれず、そこを隠れ場所として、沈没船に引き寄せられた魚を待ち伏せしていると考えている。

生物攪拌によってできたくぼみが輪状に取り囲む沈没船「Althea II」(オレンジ色)の3次元海底地形図。画像:CSIRO
航海責任者であるCSIROのベン・アーサー(Ben Arthur)博士は、2017年の商船「SS Macumba」捜索でも同様のくぼみが手掛かりになったと振り返る。第二次世界大戦中に日本軍の爆撃機によって沈められた同船を探す際、捜索を終える直前に生物学者が捜索範囲の端で一連の円形のくぼみ(複数)を発見した。音響技術者と乗組員がその近くで捜索範囲の外まで航路を広げると、調査船は沈没船の真上を通った。

沈没した商船「SS Macumba」の海底地形図。周囲に見える海底の円形のくぼみが、同船発見の手掛かりとなった。画像:CSIRO
沈没船は甲殻類や小魚のすみかとなり、さらに大型魚を引き寄せる。CSIROは、沈没船付近には魚が多いという漁師の知識なども生かし、タスマニア州沖に沈む貨物船「MV Blythe Star」などを特定してきた。ピクトン氏は、生物攪拌によって、広い海では見つけにくい沈没船の小さな痕跡が、数百メートルにわたる手掛かりになると語った。
2017年、調査船「インベスティゲーター」が沈没した商船「SS Macumba」を発見した瞬間。©CSIRO
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部