【AsianScientist】信頼性に根付くライフサイエンス研究

適切な実験用天秤と浄水システムがあれば、ワークフローの最適化に役立つだけでなく、ライフサイエンス研究における一貫性と再現性を確保することができる。

臨床で使用する化合物の分離から新薬候補の開発まで、ライフサイエンスや製薬研究において正確かつ再現性のある結果を出すには、十分に調整されたワークフローが欠かせない。研究者は細心の注意を払ってサンプルを処理するように十分な研修を受けるが、多くの場合、エラーを避けることはできない。

サンプルの取り扱いが雑であったり手順全体で特定の変数を考慮に入れないなど、人的ミスが原因とされやすい。しかし、使用するラボ機器の品質は、最適なワークフローにとって非常に重要である。それによりエラーが発生するリスクを最小限に抑え、正確な結果を得ることができる。

高性能の機器がなければ、サンプルの計量や水の精製などの一見単純な手順でさえ、矛盾が生じる可能性がある。小さな誤差は、薬の効能を評価したり、同じ手順を次の実験で繰り返したりする際に、大きな違いとなるかもしれない。

アジア等に展開するラボソリューションプロバイダー、ザルトリウス社(本部・ドイツ)が提供する高性能機器製品が、高度に統合されたラボ環境の中で一貫した信頼性の高いワークフローの鍵となる理由について触れる。

ラボのニーズで規模をカスタマイズ

ラボのワークフローには、質量という基本的な性質に依存するものが数多くある。例えば、高圧液体クロマトグラフィー (HPLC) 分析では、標準物質を調製する。標準物質の正確な測定は、サンプルの組成を特徴付けるために不可欠である。

医薬品を調製する際にも計量は重要である。レシピに従ってお茶を作るように、医薬品開発者はさまざまな化合物の濃度を厳密に守り調製しなければならない。一方、フィルターの計量は、大気質モニタリングでは重要な技術である。測定時ごとにフィルターの質量に違いがあれば、結果に影響を与え、大気汚染レベルの変化を定量化することは困難になる。

しかし、このような使用例や計量するサンプルの種類の違いにより、標準的な分析天びんでは、研究室の進化するニーズをすべて解決できない場合がある。研究者たちに高い柔軟性と最高レベルの精度を提供するために、ザルトリウスはあらゆるハードウェア、ソフトウェア、および接続機器にカスタマイズ可能な唯一のラボ用計測器であるCubis® II Balanceを開発した。

Cubis® II には、45 種類の計量モジュールと7つの異なる風防オプションがあり、また、60のアプリケーションを選ぶことができる。組み合わせることで何千もの構成が可能であり、研究者は必要な機能を特定することができる。たとえば、Precision Balanceの最大秤量は320 gから70,200 gだが、Ultra-Micro Balanceの最大秤量は2.1 gである。自動ガラス製風防にはジェスチャーセンサーとイオナイザーが装備され、静電気粒子からの干渉を排除できる。

これら直感的操作が可能なモジュールに加えて、Cubis® IIには、インテリジェントな診断システムと操作しやすいユーザーインターフェイスが装備されている。サンプル処理は人間工学的に向上しており、シームレスなデータ管理を通じてプロセスが統合されているため、天びんはさまざまなワークフローについて高い再現性を促進し、測定中の人的エラーのリスクを最小限に抑える。

スマートなデザインとデータ接続機能を備えるため、透明性の高いワークフローを作ることもできる。Cubis® IIは高度な監査証跡と報告機能を持ち、最初から最後まで完全な可視性や追跡可能性を提供する。研究者は自信を持ってデータを追跡できるだけでなく、新しい欧州薬局方などといった規制基準にも準拠できる。4つの簡単なステップでCubis® II天びんを構築できる。

長期間の浄水

生物学における水の重要性を考えれば、きれいで純粋な水がバイオ医薬品実験の柱でもあることは当然であろう。水は緩衝液、添加剤、細胞培養培地の主要成分であり、がん細胞株に対する薬剤候補の試験などといった細胞アッセイの中心となる。

しかし、汚染物質は供給源や在庫からだけでなく、ワークフローのどの時点でも水の中に侵入する可能性がある。多くの場合、これらの不純物質は、特に重要なライフサイエンス研究のうち、高感度分析が関わり、あるいは検出限界の低いものの場合は無視できない。例えば、イオンは化学反応において他の試薬と干渉することがある。水中に有機物が含まれていると、HPLCの結果に偽のピークが生じることがある。そのため、これらの分析では超純水が使われることが多い。

超純水を製造するには、通常の逆浸透膜による水のろ過に加えて、イオン交換技術と活性炭が必要である。このように広範囲な処理が必要なのは、細菌、エンドトキシン、遺伝学技術で使用されるDNase酵素やRNase酵素の存在を最小限に抑えるためである。

ザルトリウスのArium® システムシリーズは、費用対効果と信頼性が高く、さまざまな浄水ニーズを満たすソリューションを提供する。たとえば、Arium® Pro VFシステムは、いつでもオンデマンドで超純水を生成し、超純水の商用在庫水とは対照的な、手頃な価格のオプションを提供する。

しかし、精製後でも、汚れた貯蔵タンクから汚染物質が入り込み、純粋な水の供給全体が損なわれるという問題が起こりえる。しかし、貯蔵タンクの洗浄手順は通常、多くの時間がかかり、化学薬品も多く使用される。このため、望ましくない化学物質がシステムに入り込むリスクがある。

品質を維持しながらこのような時間のかかる方法の必要性をなくすために、Arium® Bagtank システムは使い捨てバッグを使用してメンテナンス手順を簡素化する。つまり、使用中のバッグを新しいバッグと交換するだけで完了する。保管タンクを化学薬品で長時間洗浄するのに比べて、時間はわずか数分で済む。

Arium® Bagsは簡単に交換できるだけでなく、安定した水質を長期間にわたって保証する。ザルトリウスは、二酸化炭素(CO2)汚染などの二次汚染を防ぐために、Bagtankを密閉システムとして設計した。バルブ付きの内蔵換気フィルターが効果的にガスを遮断し、保管中は精製水を保護する。

計量であれ浄水であれ、ラボのワークフローは一貫性と再現性に重点を当てている。ザルトリウスは、カスタマイズ可能で革新的なソリューションを提供することにより、ライフサイエンス業界の流れを変え、最適なワークフロー、最小限のエラー、そして科学の進歩に向けた迅速かつ信頼性の高いステップを保証する。

(2022年12月15日公開)

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