【AsianScientist】ゲノム配列決定で農業の進歩を促進«動画あり»

インドのパタンチェルに本部を置く国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT) のラジーブ・バルシュニー教授は、MGI(遺伝子シーケンサーメーカー)のハイスループット・シーケンス技術を活用して最大規模の植物ゲノムシーケンス研究を達成した。(2023年9月20日公開)

20年前、世界的な研究コンソーシアムによる画期的なヒトゲノム・プロジェクトが完了した。このプロジェクトは、ヒトゲノム全体の配列を決定することにより、ゲノミクスの分野でこれまで未開拓だった膨大な可能性を解き放った。現在、遺伝子コードをマッピングすることで、病気の診断、治療、研究をより迅速に行うことができるようになった。このプロジェクトは高い知名度と名声を誇るが、ゲノミクスの恩恵を受ける生物は人間だけではない。ゲノミクスの価値は、植物のゲノムを理解することで農業に反映させることができる。

今日、個別化医療が台頭していることから、異なる民族間の差異を特定することを目的として、他のヒトゲノムプロジェクトも実施されている。同じことが植物に関しても当てはまる。収量を高めるために栽培条件を改善すれば、同じ品種であっても天と地ほどの差が生まれることがある

業界の成長

2021年、国際半乾燥熱帯作物研究所 (ICRISAT) のグローバル研究プログラムディレクターであるラジーブ・バルシュニー (Rajeev Varshney) 教授は、ヒヨコマメのゲノム間の変異について詳しいことを知るために、合計3,366のヒヨコマメのゲノムを使い、世界最大の植物ゲノム配列決定プロジェクトを実施した。その後、このプロジェクトは農業生産性の向上を目的とした17の発表物で引用されている。

「特定の作物のゲノムを解読すると、その種の遺伝子レパートリーに関する情報を得ることができます。しかし、種の中でもさまざまな農業形質と関連付けることができるゲノム変異を推定することはできませんでした」とバルシュニー教授は説明し、「そのため、MGIと協力して多数の標本の配列を決定することを計画しました」と付け加えた。

チームは数千のヒヨコマメ系統の配列を決定することができた。後にそれを分類し、遺伝的変異を特定するために使用した。干ばつ耐性、耐暑性、耐病性などの有利な変異を特定すれば、作物改良プログラムを実施して、収量を高め、食料安全保障を向上させる優れた系統を開発することができる。

「私は10年近く MGI と協力してきました。その間、MGIは数十万のゲノムに関する配列決定技術を常に進歩させてきたのです。MGIの製品は、先進国と発展途上国の両方で、基礎科学の加速と農業改善のためのゲノミクスの実用化において重要な役割を果たしています」とバルシュニー教授は述べ、「私は、MGI は単なるサービスプロバイダーではなく、科学者に力を与え、科学の発展を促進する真の協力者であると考えます」とも。

ゲノミクスの次

現在、バルシュニー教授は西オーストラリア州のマードック大学作物食品イノベーションセンター所長としてオーストラリアを中心に活動している。教授はMGIと協力して、オーストラリアにおける作物ゲノム研究を推進する先進ゲノムプラットフォームを設立しようとしている。このプロジェクトは、具体的にはバナナ、パイナップル、パパイヤ、カスタードアップル、パッションフルーツという5つの果物の品質と回復力を向上させることを目的としている。育種家と生産者は、公開されているデータベースを通じて遺伝データにアクセスできるようになる。ヒヨコマメプロジェクトと同様に、生産性の高い品種を開発するために遺伝情報を使用して重要な特性を迅速に特定できる。

マードック大学のバルシュニー教授とそのチームはMGIテクノロジーズと協力して収量の高い果物の種を開発する

プラットフォームの立ち上げは、MGIの技術を使いシームレスに促進されるであろう。シーケンスには MGI のエンドツーエンド機能が使用され、プロセス全体を通じて迅速かつ正確なものとなる。バルシュニー教授とそのチームは、MGISP-960 ハイスループット自動サンプル調製システム、DNBSEQ-T7 超ハイスループット遺伝子シーケンサー、および ZTRON オールインワン遺伝子データ プラットフォームという3つの主なシステムを使用する予定である。

MGIオーストラリアのディレクターであるビチェン・ヤン (Bicheng Yang) 博士は「MGI は、自動サンプル処理 (SP960)、DNBSEQ-T7 シーケンサー、Ztronデータサーバーなど、ハイスループット・シーケンスのワークフロー全体を提供してくれます。このソリューションは、ゲノム育種支援に欠かせない大量のサンプル処理とデータ生成を強化します」と述べる。

バルシュニー教授は、将来のゲノミクスとゲノム育種支援では、空間トランスクリプトーム解析と人工知能 (AI) が進歩のカギとなると考えている。

バルシュニー教授は「MGI はすでに DNBSEQ™ テクノロジーに基づくアプローチである「STOMICS」を開発しています。現在、STOMICSは主にヒト遺伝学で使用されています。小麦のような複雑なゲノム種では、大規模な配列データを生成する必要性を意識しつつこれを最適化する必要があります。さらに、表現型をより適切に予測して作物の改良レベルを高めるために、AI と機械学習を導入する必要があります」と語った。

MGI はイノベーションに熱心に取り組んでおり、育種家や農家を含むすべての人が、手頃な価格でゲノム研究を利用できるようになることを目指している。MGI は迅速かつ効果的なソリューションを開発する必要性を十分理解しており、バルシュニー教授のような専門家と協働している。

ヤン博士はバルシュニー教授との協働を強調し、「育種応用のためにゲノミクスを利用しようとする教授の経験から学ぶことがありました。短期間で費用対効果の高いソリューションを開発して、サンプル採取と抽出を自動化し、大規模な集団の遺伝子型判定を迅速に行うという将来の必要性と方向性について、より深く理解することができます。これらのソリューションの価格はリーズナブルであり、マルチオミクス 解析データの取得と分析をスマートに行えます。MGI はこれらのニーズを満たすツールとソリューションの開発を続けていきます」と述べた。

* 特に断りのない限り、StandardMPSおよびCoolMPSのシーケンス試薬およびこれらの試薬を使用するシーケンサーは、ドイツ、米国、スペイン、英国、香港、スウェーデン、ベルギー、イタリア、フィンランド、チェコ共和国、スイス、ポルトガル、オーストリアでは利用できない。HotMPSシーケンス試薬およびシーケンサーは、特定の国でのみ入手可能である。

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