【AsianScientist】 第11回「アジアの科学者100人」 2026年版を発表

Asian Scientist Magazineは毎年、アジアのSTEM分野で最も優れた研究者やリーダーを厳選し、「アジアの科学者100人」を発表している。(2026年7月15日公開)

Asian Scientist Magazineは、アジアの優れた科学者に光を当てる恒例企画「アジアの科学者100人」の2026年版を発表した。今回で11回目となる本企画には、STEM分野の先駆者やリーダーに加え、すでに各分野で存在感を示している新進気鋭の科学者たちが名を連ねている。選出者には、エピジェネティクス、磁気圏、免疫細胞、災害リスク軽減、代数学、高エネルギー物理学などの分野で画期的な研究を行う科学者が含まれる。

今年の多様なリストには、スリランカ、中国、インド、日本、シンガポール、台湾、マレーシア、ベトナム、韓国、パキスタン、バングラデシュ、香港特別行政区、インドネシア、フィリピン、モルディブ、カンボジアなど、アジア各地の国・地域から科学者が選ばれている。

今回の選出者には、日本の大阪大学の坂口志文(Shimon Sakaguchi)教授のようなノーベル賞受賞者も含まれる。坂口教授は、免疫系が自分自身の組織を攻撃するのを防ぐ基本的な仕組みである「末梢免疫寛容」に関する基礎的発見により、米国シアトルのシステム生物学研究所の分子生物学者メアリー・ブランコウ(Mary Brunkow)氏、米国サンフランシスコのソノマ・バイオセラピューティクス社の最高科学責任者フレッド・ラムズデル(Fred Ramsdell)氏とともに、2025年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した。この3人は、免疫応答の重要な「ブレーキ」として機能する制御性T細胞(Treg)を同定・特徴づけ、その分化と機能においてFOXP3遺伝子が果たす中心的役割を明らかにした。坂口教授は1995年にこれらの細胞の存在を初めて実証し、自己寛容は胸腺でのみ担われるという従来の考え方に異議を唱えた。

モルディブの環境活動家シャーヒナ・アリ(Shaahina Ali)氏をはじめ、多くの女性リーダーも取り上げられている。アリ氏は、モルディブにおける海洋保全で変革をもたらすリーダーシップを発揮したことが評価され、2025年のラモン・マグサイサイ賞を受賞した。数百回に及ぶ海岸清掃や学校を拠点としたリサイクルプログラムなど、地域主導の取り組みを通じて、プラスチック汚染と闘う全国的な運動を立ち上げた。アリ氏のリーダーシップは、市民、企業、機関を結びつけ、脆弱な海洋生態系の保護につなげた。草の根の行動が持続可能な環境管理を推進し、島しょコミュニティ全体に長期的な保全活動を促すことを示している。

シンガポール国立大学のチュイ・テック・リム(Chwee Teck Lim)教授もその1人だ。リム教授は、メカノバイオロジー、マイクロ流体工学、早期の疾患発見と精密治療を可能にするウェアラブル医療技術への先駆的貢献が評価され、シンガポール最高の科学栄誉である2025年大統領科学賞を受賞した。同年、英国王立工学アカデミーの国際フェローにも選出され、医療・生物工学分野でのリーダーシップと画期的貢献により、2025年オットー・シュミット賞を受賞した。リム教授の研究は、循環腫瘍細胞を捕捉するバイオチップや柔軟な診断デバイスなど、基礎的な発見を実用的な医療ソリューションへと発展させ、低侵襲診断やグローバルヘルス技術の進歩に貢献している。

生物医学研究と同様、環境保護と災害リスク軽減も、Asian Scientist Magazineが科学者に光を当てる主要な科学分野であり続けている。今年は、インドネシアのスマトラ工科大学のハルクンティ・ペルティウィ・ラハユ(Harkunti Pertiwi Rahayu)教授も名を連ねた。ラハユ教授は、権威ある国連笹川防災賞の2025年受賞者に選ばれた。インドネシアとアジア太平洋地域における災害への備えの強化に数十年にわたり尽力してきたことが評価されたもので、科学を政策や地域社会主導のレジリエンス戦略に組み込むうえで重要な役割を果たしてきた。特に津波早期警報システムや都市のレジリエンスの分野で、国や地域レベルの災害リスクガバナンスに大きな影響を与えてきた。この賞は、災害リスクの低減と持続可能な開発の取り組みの強化に対する同教授の優れた貢献を称えるものだ。

今回で11回目を迎えた本企画には、台湾の清華大学准教授であるヤン・シャンイー(Hsiang-Yi Yang)氏のような若手研究者も名を連ねている。ヤン准教授は、高度なシミュレーションを用いてブラックホールのジェットや、それが銀河および銀河団の進化に及ぼす影響を研究した天体物理学分野の功績により、2025年「台湾科学分野優秀女性新星賞」を受賞した。

「アジアの科学者100人」に選出されるには、2025年に国内または国際的な賞を受賞していること、あるいは科学的発見や科学分野でのリーダーシップにおいて顕著な成果を挙げていることが条件となる。

Asian Scientist Magazineは、多様性と公平性を兼ね備えた「アジアの科学者100人」の作成を支援した同誌の国際諮問委員会に謝意を表している。

この企画は順位付けされておらず、オンラインで公開されている。

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