【調査報告書】 『アジア・太平洋地域における半導体政策と研究開発動向』

2026年9月14日 JSTアジア・太平洋総合研究センター

科学技術振興機構(JST)アジア・太平洋総合研究センターでは、調査報告書『アジア・太平洋地域における半導体政策と研究開発動向』を公開しました。
以下よりダウンロードいただけますのでご覧ください。
https://spap.jst.go.jp/investigation/report_2022.html#fy25_rr03

エグゼクティブ・サマリー

本報告書は、米中対立の長期化を背景に戦略的重要性が一段と高まる半導体分野について、アジア・太平洋地域の政策、研究開発、産業、人材育成動向を総合的に分析し、同地域が世界の半導体エコシステムにおいて果たす役割と国際的な相互関係性を明らかにすることを目的とする。

近年、半導体は科学技術・産業競争力の中核であると同時に、経済安全保障の要として位置付けられている。各国は安定供給と技術優位性の確保を国家戦略に組み込み、研究開発政策、産業政策、国際連携を一体的に推進している。中でもアジア・太平洋地域は、世界の半導体製造能力と研究開発機能が高度に集積する地域であり、その動向はグローバルなサプライチェーン全体に重大な影響を及ぼしている。

第1章では、2010年以降約15年分の論文・特許データ分析により、世界および主要国・地域の研究・技術動向を俯瞰した。その結果、論文では米国と中国が突出し、特許では日本が最大の保有国であることが確認された。論文は基盤技術や先端応用分野での研究活動の広がりを示す一方、特許は製造プロセスや半導体構造など事業化に直結する技術への集中を示している。これを踏まえて本報告書では、アジア・太平洋地域から中国、韓国、台湾、インドを主要国・地域、シンガポール、マレーシア、ベトナムを注目国として調査対象国を選定した。

第2章では、同地域が世界の半導体需要の過半を占める巨大市場であることに加え、台湾・韓国による先端ロジック・先端メモリ製造、日本による材料・装置分野での競争力といった供給面での重要性を整理した。

また、米中対立を背景に「China+1」戦略が加速し、アジア・太平洋地域が生産・投資先として再評価されている点を指摘した。

第3章以降では、7か国・地域の政策、研究開発、産業、人材育成の動向を分析した。各国・地域はいずれも半導体を国家戦略分野と位置付けているが、先端製造力の維持・強化を重視する国、高付加価値工程への転換を図る国、新規参入として設計力や人材を軸に基盤構築を進める国など、戦略的重点と役割は大きく異なることが明らかとなった。

先端技術獲得と高付加価値化を巡る国際競争は今後さらに激化する一方、単独国・地域による完結的な研究開発や製造装置、材料供給を含むサプライチェーンの構築には限界があり、国際的な相互補完と協調の重要性は高まっている。日本においては、アジア・太平洋地域における各国・地域の比較優位を生かした国際共同研究、人材育成を伴う産学連携、共用研究基盤の整備を推進することが、日本の研究力と産業競争力の強化に資すると結論付けられる。

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