シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のシンガポールゲノム研究所(GIS)がチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ(CZI)の「Ancestry Network Grant 」から助成金を受けて、シンガポールとアジアの免疫多様性を調査する。Eurekalert! が2021年12月17日に伝えた。Eurekalert!は、AAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供するオンラインニュースサービス。
GISはアジア免疫多様性アトラス(Asian Immune Diversity Atlas:AIDA)」というプロジェクトを通じて、シンガポールや日本の集団を含む健康なアジア人の血液から採取した細胞のマップを構築することを目指す。 アジアの人口は世界人口の60%近くを占めるにもかかわらず、世界のゲノムデータベースではアジア人の標本が不足している。AIDAは国際プロジェクト「ヒト細胞アトラス(HCA)」計画の旗艦プロジェクトとして、年齢や民族、環境、地理が免疫細胞に及ぼす影響を研究し、この不均衡を是正することを目標とする。
AIDAは1,000人以上から採取した数百万の細胞の配列を解析することを計画している。健康な人の免疫系に関するベースラインデータは、疫関連疾患等で生じる異常を特定するうえで不可欠な情報となる。
GISで空間・シングルセルシステムを研究するシャム・プラバカー(Shyam Prabhakar)博士は「AIDAはアジア人集団の免疫細胞の多様性を特徴付ける初めての大規模な取り組み。個々の患者の特性に応じた治療を可能にし、アジアのプレシジョン・メディシンの基礎を築くこととなるだろう 」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部