バングラデシュの国際下痢性疾患研究センター(icddr,b) は7月5日、首都ダッカで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株の新系統であるBA.4とBA.5が急速に広がっていることから、今後感染者が急増する可能性があるという調査結果を発表した。

これらの新系統のウイルスは、2022年1月と2月にそれぞれ南アフリカで初めて確認され、過去の系統と比較して入院や死亡が少ないことが示されている。同国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査ネットワークの一員として、icddr,bは、患者の検査とSARS-CoV-2の新しい系統の監視を行っている。

調査結果は以下の通り。

• 2021年12月6日:バングラデシュにてオミクロン株が初めて確認される
• 2022年1月1〜2週目:COVID-19陽性者の大半がBA.1由来
• 2022年1月3週:BA.2を検出
• 2022年4月1週にかけて:BA.2に置き換わる
• 2022年4月9日〜5月13日:COVID-19陽性率が低下
• 2022年5月19日:ダッカでBA.5を検出
• 2022年5月14日〜6月24日:BA.5が最も優勢な系統となる

BA.5感染者40名の内訳は以下の通り。

• 男性16名、女性24名
• 無症状1名を除き、39名が軽度から中等度の症状を呈し、1名のみが1日入院
• 11名は2回目の再感染、7人が3回目の再感染
• 38人の患者が少なくとも1回のワクチン接種を受けており、そのうちブースター接種済みが16名、2回接種済みが21名、1回のみの接種が1名であった
• 旅行歴のある人はいなかった

本報告では、SARS-CoV-2の各系統が時間の経過とともに次々と淘汰されていく様子を示しており、新系統の出現を定期的に更新するために系統の調査を継続することが重要であることを示唆している。

今回の調査からBA.5の重症度は低いと考えられるが、患者数や入院者数の増加から、ウイルス感染を最小限に抑える公衆衛生および、社会的措置の継続が必要である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部