台湾初、独立研究開発でAIロボット犬を開発

台湾の国家科学技術委員会(NSTC)は5月29日、台湾大学(NTU)機械工学科のチョンシェン・クオ(Chong-Hsien Kuo)教授率いる研究チームが、NSTCの研究助成金と産学連携プログラムの資金援助を受け、台湾で初めて独立研究開発(IR&D)により人工知能(AI)ロボット犬を開発したと発表した。

台湾ではこれまで、ロボット犬の応用はほとんど報告されていない。その理由として、投資コストの高さ、個別のニーズやAIプログラミングに対応する技術サポートが不十分であること、企業の既存の情報システムとの統合が難しいことなどが挙げられる。また、導入後のメンテナンスや規模拡張のためのコストも大きなハードルである。

クオ教授のチームは2022年に、台湾の労働力不足を解決する一助としてAIロボット犬の開発に乗り出した。開発にあたっては、投資コストを手頃な水準に抑え、導入後のメンテナンスと規模拡張のサポートを円滑に提供することを目指した。また、個別のニーズに迅速かつ柔軟に対応できるようにモジュール型のソフトウェアアーキテクチャを採用したほか、企業の情報システムとの統合のためオープンな通信インターフェースを搭載した。

こうした取り組みを通じ、研究チームはこれまでに、長さ54センチ・重さ16キロのペット用ロボット犬と、長さ93センチ・重さ40キロの現場作業用のロボット犬を完成させている。どちらもAIと自律ナビゲーション機能が搭載されているが、前者は音声認識や感情表情認識による対話制御が可能で、家庭向けである。後者は、工業検査や食品・商品の配送用で、各種工業検査センサーが搭載されているという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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