台湾工業技術研究院(ITRI)は7月4日、欧州連合(EU)の国際会議および英国での合同ワークショップに代表団を派遣し、6G技術の国際連携に向けた複数の了解覚書(MoU)を締結したと発表した。

台湾代表団はEUと英国で国際的な連携を強化し、次世代通信技術における協力を推進
(出典:ITRI)
ITRIは、次世代通信分野におけるEU最大級の国際会議「2025 EuCNC & 6Gサミット」に参加し、EUの研究プロジェクト6G-SENSESおよびオランダ応用科学研究機構(TNO)と、統合センシング通信(ISAC)および再構成可能なインテリジェントサーフェス(RIS)技術の標準化に向けた検証協力に関するMoUを締結した。
また、英国ケンブリッジ大学で開催された英台合同ワークショップでは、ITRIは英国通信革新ネットワーク(UKTIN)、英国電気通信ハブ(UK FTH)と連携し、非地上ネットワーク(NTN)、オープンRAN、AIネイティブネットワークといった重点分野に関する議論を行った。英国の国家6Gプロジェクト「TITAN」および「JOINER」も紹介された。
会合には、英国からは科学・革新・技術省(DSIT)と通信事業大手のBTグループが、台湾からは経済部産業技術局(DoIT)、国家科学及技術委員会(NSTC)、メディアテック(MediaTek)社などが参加した。ITRI副所長のパンアン・ティン(Pang-An Ting)博士は「オープン性は5G時代からの中核的価値です。ITRIはOpen RAN開発を通じて6G基盤の整備を進めており、2026年には台湾で試験ネットワークの公開デモを予定しています」と語った。
英国DSITのキャサリン・ペイジ(Catherine Page)副所長は、半導体やOpen RAN分野での台湾との協力を評価し、「次世代ネットワークの発展には国際協力が不可欠です」と述べた。ケンブリッジ大学のハラルド・ハース(Harald Haas)教授は「台湾のICT供給網と英国の研究開発力は補完的で、実証実験が革新の商用化を後押しします」と強調した。
ITRIは今回、ドイツのフラウンホーファー生産技術研究所(IPT)および台湾企業と、スマート製造メタバース開発に関するMoUも締結した。さらに、AI-RANやチップ開発を含む「FORMOSA-6G」構想を発表し、2025年中にITRIの新竹キャンパスでの6G試験ネットワーク構築を進めるとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部