半導体人材と起業家育成で日本の九州大学とMoU締結 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は7月17日、日本の九州大学と共同で半導体分野における人材育成と産学官連携の強化を目的とした了解覚書(MoU)を締結したと発表した。

(出典:NYCU)

このMoUは、7月10~11日に福岡で開催された「第2回台湾・日本グローバルパートナーシップ半導体・イノベーション・スタートアップフォーラム」にあわせて署名されたものである。会場には台湾と日本の学界・産業界・政府関係者あわせて約270人が集まり、半導体分野での協力強化を確認した。

今回のMoUは2024年の基本協定に基づき、研究協力から教育・起業支援まで対象を広げるもので、2027年を目処に共同キャンパスの立ち上げが検討されている。九州大学の学生10~20人がNYCUで単位取得や学位取得を目指す交流プログラムが計画されており、両大学は教員の相互派遣やカリキュラム開発、研究設備の共有にも取り組む。

NYCUのチーホン・リン(Chi-Hung Lin)学長は調印式で「台湾の半導体の強みは、大学・産業・政府の連携に支えられています。この協定を通じて台湾の経験を共有し、アジア太平洋地域全体の人材流動とイノベーション創出を後押ししたい」と述べた。

日本の文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当)である清浦 隆氏はフォーラムで講演し、台湾の半導体人材育成モデルが日本の参考になると語った上で、「NYCUの実践から多くを学び、九州大学との連携が日本のイノベーション基盤強化につながると期待しています」と強調した。

両大学はスタートアップ支援でも連携を進めており、NYCUの半導体・バイオ医療系スタートアップの海外展開を、九州大学の地域ネットワークや日本の産業クラスターとつなぐ形で後押しする方針である。フォーラムにはTSMC関連企業なども参加し、マッチングを通じた研究開発の可能性を探った。

NYCU台日交流推進室長を務める寒川 誠二教授は「TSMCの成功は学術と産業の融合にあります。このモデルを日本にも広げ、独自の強みと組み合わせて発展させたいです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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