EUと連携して6G-SANDBOXツールキットを導入 台湾ITRI

台湾の工業技術研究院(ITRI)は10月1日、欧州連合(EU)のスマートネットワーク・サービス共同事業体(SNS JU)の支援を受け、欧州のパートナーと連携して、6G実験ネットワーク管理システム「6G-SANDBOXツールキット」を台湾で導入したと発表した。

ITRIは欧州のパートナーと協力し、6G-SANDBOXツールキットの導入に成功
(出典:ITRI)

このツールキットは、台湾経済部(MOEA)産業技術局(DoIT)の支援のもと開発されたもので、ネットワーク構成要素を迅速に組み立て、柔軟に管理できる先進的な6Gテストベッドである。今回の導入は、台湾が世界の6G分野において重要な拠点となることを示すものだ。

6G-SANDBOXは、EUのSNS JUが資金提供する旗艦プロジェクトであり、ツールキットには次の3つの特長がある。第一に「モジュール性」では、無線アクセスネットワーク、コアネットワーク、クラウドプラットフォーム、測定ツール、アプリケーションモジュールを柔軟に構成できる。これにより、多額のインフラ投資や長期導入サイクルを回避し、多様な用途に対応可能となる。第二に「自動化」では、統合制御インターフェースを通じて自動構成と検証を行い、研究開発から概念実証までの期間を短縮する。第三に「相互運用性」では、オープンアーキテクチャに基づき複数ベンダーの技術統合を可能とし、端末からアプリケーションまでエンドツーエンドの検証が行える。

6G-SANDBOXプロジェクトのコーディネーターであり、キーサイト・テクノロジーズ(Keysight Technologies)社研究開発マネージャーのマイケル・ディウドネ(Michael Dieudonne)氏は、「ITRIは、コンソーシアム外で6G-SANDBOXツールキットを展開した初の事例です。この技術は今後、世界各地のテストベッドで6G実験を支援する準備が整いました」と述べた。

また、ITRI副理事長兼情報通信研究所長のパンアン・ティン(Pang-An Ting)博士は、「ITRIは、台湾企業と国際社会をつなぐ戦略的ハブとして、検証、商用化、標準化を推進し、6G時代における台湾の役割を強化していきます」と語った。

このツールキットの導入により、台湾の学術機関や産業界は、大規模なインフラ投資や海外展開を行わずに国際的なアプリケーション検証に参加できる。これにより、開発から検証までの期間が短縮され、台湾で得られた結果が国際的に認められる体制が整った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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