台湾の陽明交通大学(NYCU)は7月27日、同大学と鴻海研究院(HHRI)の研究チームが、量子ドットコムレーザーと波長分割多重(WDM)、マルチコアファイバー技術を組み合わせた高容量シリコンフォトニック送信機を開発したと発表した。研究成果は学術誌Optics Expressに掲載された。

超高速光データ伝送の概念図。概念実証用のシリコンフォトニック送信機は、単一の光ファイバーで34.132Tbit/sを達成した。これは1秒間に数千本の高精細映画を転送するのに相当する
(出典:NYCU)
単一の光ファイバーで合計34.132Tbit/sの伝送容量を実証し、次世代人工知能(AI)データセンターやCPO(Co-Packged Optics)への応用が期待される。
AIデータセンターでは数千から数万の画像処理装置(GPU)が連携して稼働し、プロセッサ間のデータ交換量が急増している。この課題に対応するため、業界は電気信号の代わりに光を用いるシリコンフォトニクス技術に注目してきた。従来の銅配線に比べ、消費電力や発熱、信号損失を抑えつつ多くの情報を伝送できる点が特長だ。
研究チームの主要な技術革新は、超広帯域の量子ドットコムレーザーの活用だ。単一のレーザーで23種類の異なる光波長を安定的に生成し、光学構成を大幅に簡素化。各波長には4値パルス振幅変調(PAM4)を採用し、212Gbit/sでの伝送を実現した。さらに7コアのマルチコア光ファイバーを組み合わせ、波長分割多重と空間分割多重(SDM)を同時に活用することで、単一の光ファイバーで合計34.132Tbit/sの伝送容量を達成。2kmの光ファイバーでの伝送実証でも良好な信号品質を維持した。
研究チームはさらに、シリコンフォトニックチップ内に特殊な高周波電極を設計し、複数チャネル同時動作時の電磁干渉を抑制した。この技術は、光学部品をAIプロセッサやネットワークスイッチのより近くに配置する新興アーキテクチャー「CPO」の発展にも寄与しうる。電気伝送距離を短縮することで消費電力と遅延を削減し、将来のAIコンピューティングシステムのボトルネックを克服できる可能性がある。
本研究はHHRI半導体研究センターのハオチュン・クオ(Hao-Chung Kuo)所長とNYCUのチャウ・チーワイ(Chi-Wai Chow)特別教授が主導し、国家科学技術委員会(NSTC)と工業技術研究院(ITRI)の支援を受けた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部