シンガポール初の大規模浮体式太陽光発電所が7月14日オープンし、同日、記念式典が開催された。式典にはシンガポールのリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相が参加し、祝辞を述べた。
テンゲ貯水池に建設されたこのセムコープ・テンゲ浮体式太陽光発電所( Sembcorp Tengeh Floating Solar Farm)の出力は、シンガポールの公営住宅1万6000件の電力消費に相当し、7000台の車から排出される炭素を排除するに等しい。
シンガポールは土地面積が小さく、建物や空き地に設置できる太陽光発電パネルの数には限界がある。このため水上を使うアイデアが浮上。2016年にシンガポールの公益事業庁(PUB)、経済開発庁(EDB)が面積45ヘクタールのテンゲ貯水池に1メガワットピークの太陽光発電テストベッドを設置した。その成功を受けて、セムコープがPUBと共同で60メガワットピークの発電所を同貯水池に建設し、今後の運営を担当する。発電所の建設にあたっては、水面に太陽光が届くようにパネル間に隙間を作り、通気装置を設置して、太陽光パネルによる水中の生物や水質への影響を最小限に抑えた。
シンガポール政府は今後、他の2つの貯水池でも浮体式太陽光発電所の建設を進めており、これらも2021年中には完成する予定。また、2030年までに太陽光発電により国内で最低2ギガワットピークの電力供給が可能になるよう、太陽光発電施設を充実させていくという。
この発電所はシンガポールの水処理場に十分な電力を供給する。シェンロン首相は「シンガポールは、クリーンウォーターを、クリーンエネルギーで提供できる世界でも数少ない都市になる」と同国の低炭素排出に向けた努力をアピールした。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部