シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、NTUの研究者らが都市部で使用される遮熱塗料が歩行者を最大1.5℃涼しく感じさせることができ、都市での仕事や遊びを快適にすることを、実環境での試験を通して実証したと発表した。3月25日付け。

遮熱塗料を施したシンガポールの実験施設の道路舗装
(出典：NTU)

遮熱塗料は、太陽熱を反射して塗装表面の熱吸収と熱放出を抑える添加剤が加えられたもので、ヒートアイランド(UHI)効果を緩和する方法のひとつとして注目されている。

遮熱塗料に関するこれまでの研究は、シミュレーションかスケールダウンしたモデルで試験されたもので、実環境に適用した知見は限られていた。

NTUの研究チームは、熱帯地域で初となる実環境での遮熱塗料の実証試験を行い、都市部の暑さをどの程度軽減できるかについて総合的に評価した。評価には、人間の外気温感覚に関する国際基準である熱気候指数(UTCI)を採用した。

研究チームは、シンガポールの工業地帯の屋根や壁、道路舗装を遮熱塗料で塗装し、隣接する塗装されていないエリアと比較した。その結果、遮熱塗料で塗装されたエリアは、午後に最大2℃涼しくなり、歩行者の熱的快適性は最大1.5℃改善することを明らかにした。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部