2024年06月
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ロレアルと共同でファイトケミカル生産に微生物アプローチを開発 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS)は附属のNUS環境研究所(NERI)とロレアル・シンガポール(L'Oréal Singapore)社と共同で持続可能なファイトケミカル生産に向けた微生物ベースの新規アプローチを開発することを発表した。4月22日付け。

NERI所長のサンジャイ・スワラップ(Sanjay Swarup)准教授(右)
(提供:NUS)

このパートナーシップは4月19日に開催されたロレアル初のシンガポール・ショーケース・イベントで発表された。NUSの専門知識を基に、土地を増やしたり化学肥料に頼ることなく、土壌の健全性を高め、植物の収穫量を増やす新しい方法を見つけるものだ。

「様々な産業における化学物質の需要の増加は、環境の悪化や健康被害をもたらしている。これに対して、持続可能で環境や人間の健康に害を与えないグリーンケミカルへの関心が高まっています。今回のパートナーシップを通して、知識を広げ、最終的には業界のニーズを満たし、地球にとって有益な解決策を見つけることができることを願っています」と、NERI所長のサンジャイ・スワラップ(Sanjay Swarup)准教授は語った。

NUSアグリテック・センターには、50m²の共同栽培ゾーンと30m²の精密気候チャンバーが設置されており、気候制御された環境で研究を行うことができる。選択された植物品種は、化粧品やスキンケア製品の配合に使用される価値の高いファイトケミカルを生産するものである。スワラップ准教授は「標的微生物のアプローチによって植物の代謝を再プログラムすることで、持続可能で環境に優しい方法で、目的のファイトケミカルを高収率で生産することができます」と語った。

ロレアル・シンガポール・リサーチ&イノベーションのアドバンス・リサーチ・ディレクターであるタルン・チョプラ(Tarun Chopra)博士は、「私たちは、自然こそが美の未来であると信じています。NUSとの連携を通して、持続可能な形でファイトケミカル生産を強化できることに興奮しています」と語った。

この共同研究は、化粧品・パーソナルケア業界をはじめ、グリーンケミカルに依存する他のセクターにも大きな影響を与えることが期待されており、今後は商業的展開のための実地試験が行われる予定である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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