フィリピン科学技術省(DOST)はデング熱対策として森林製品の活用を推奨すると発表した。国営フィリピン通信社(PNA)が2月25日に伝えた。
デング熱対策として蚊に刺されないよう長い靴下を着用するケソン市のピニャハン小学校の児童ら
(出典:PNA)
DOSTのレナート・ソリダム(Renato Solidum Jr.) 科学技術相は、デング熱の症例急増に対して懸念を示し、持続可能な対策のために森林製品の有効活用を推奨した。例えば、シナモンの樹皮、ピリ樹脂、アルマシガ樹脂は、虫除け効果のある線香やスティックに加工可能である。
DOSTの森林産品研究所(FPRDI)の研究者によると、これらの材料は精油生産の過程で生じる加工残渣や廃棄物を利用しており、天然の虫除け成分を含む。同相は「DOSTは国と一体となり、デング熱の対処法に関する研究開発を行ってきました」と同省の貢献について説明した。FPRDIの森林技術プログラムのリーダーであるフロレナ・サミアーノ(Florena Samiano)氏は、「お香の煙からクレオソールやフルフラールが検出され、消毒剤や殺虫剤としての可能性を示しており、製品の官能試験や受容性試験、産業規模でのさらなる研究が必要です。このプロジェクトを通して、研究者らは廃棄物を価値ある製品に変換し、化学的な虫除け剤に代わる天然の代替品を提供することを目指しています」と研究の意義を述べた。さらにFPRDIのディレクター、リコ・カバンゴン(Rico Cabangon)氏は「フィリピンの森林にはデング熱や他のウイルス性疾患と戦うための豊富な天然資源がある。FPRDIの専門知識と研究を活用し、木材・非木材製品の潜在力を引き出すことで、国の差し迫った課題に対応し続けます」と述べた。
フィリピン保健省(DOH)によると、1月19日~2月15日までに全国で1万5134件のデング熱症例が記録された。ケソン市政府は2月15日、1月1日~2月14日までの症例が前年比200%増加したことを受けて、デング熱の発生を宣言した。市疫学・監視課のデータによると、1月1日~2月14日までに1769件のデング熱症例が報告されており、そのうち58%が5~17歳の子供、44%が1~10歳の子供だった。10人が死亡し、そのうち8人は未成年だったという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部